2009年11月15日

裏の真実

◇紅葉 Kは北京に出張か。中国の今現在の生の経済状況、この板で教えてくれたらありがたいね。

◆山猿 ほんまや。中国はいま、このまま経済発展し続けて世界経済の覇権を握るという人もおるし、近いうちに破綻するという人もいる。例の三橋貴明は後者で、『「世界経済の救世主」のウソを暴く 中国経済隠された危機』 (PHP研究所 2009年9月刊)を書いている。

◇紅葉 《 事件そのものは何とか理解できても「その事件に隠されている真実」を何から得たらいいのか私は分からなくて・・。起こった事の「裏」を聞くと尚更分からなくなってしまいます。 》
って、Mさんが書いてるけど、分かるよ、この気持ち。

◆山猿 起こったことの「裏」の真実は、決して公的には「表」にそのまま出てくることはないからね。疑問に思った人が、その疑問を解き明かそうと、公的に発表されたものの中の矛盾や明らかになっている事実を照合しながら、最も合理的に説明できる説として「裏の真実」を打ち出すわけやから。

だから論じる人の数だけ「裏の真実」があるというわけで、読み手や聞き手にとっては、「なにがほんとか、聞けば聞くほどわからなくなる」のも、当然で、ましてや「裏の真実」が明らかになることを「良し」としない勢力が、真実の一端をあえて含ませた虚偽の情報を、「裏の真実」だとして意図的に流し、情報錯乱する書物をタイミングよく出版しているから、なおさら分からなくなる。俺らの話も、「真実の一端をあえて含ませた虚偽の情報に、のせられているのかもしれない」という自戒が必要なことはいうまでもない。

◇紅葉 山猿との会話も1年近くになるね。僕らの話も、「真実の一端をあえて含ませた虚偽の情報に、のせられているのかもしれない」ってことだけど、ここまで続けてこれたのは、みんなの反応があるからだね。

◆山猿 ほんまにそうや。だけど、文章を書いてみんなに見せるという行為は、それこそ「自らの弱点」をさらけ出すということでもあるからね。また「自らの弱点」がにじみ出てこない文章などは、魅力を感じさせないからね。

◇紅葉 今日の議論はちょっと趣を変えて、なぜ僕らが「裏の真実」に取りつかれるようになったのか、話したいんだけど、どう山猿。

◆山猿 いつからかな・・・?2001年ごろかな。ちょうど小泉内閣ができるころや。「自民党をぶっつぶす」といって総裁選に出てきたとき、「危ないなあ・・・。小泉構造改革で日本経済はますますデフレ不況がひどくなっていく」って危機感を感じた。でも俺の周りは、小泉旋風ですごかった。なぜ「危ないなあ・・・」って感じたかといえば、そのころ俺は、「80年代後半に、なぜバブル経済が起こり、90年代にそのバブルが急に崩壊し、デフレ経済に陥ってしまったのか」が、疑問でならなかったからだ。

ちょうどそれと平行して、それ以前から疑問を感じ出していたのが「日本の歴史認識」やったな。その数年前から「歴史教科書」をめぐっていろいろ議論されていた。1991年にソ連邦の共産主義世界体制が崩壊したことも、極めて大きく影響している。1999年10月に西尾幹二の『国民の歴史』が出版されている。

◇紅葉 あの『国民の歴史』は、当時センセーションを巻き起こしたね。「左翼」陣営、とりわけ朝日新聞をはじめとしたマスコミからの批判、批難はすさまじかった。その『国民の歴史』が今月、文春文庫から出版されているよ。

◆山猿 そうだね。文春文庫の『国民の歴史』の巻末には、膨大な参考文献が載っていて参考になる。「国民の歴史」は、日本通史ではないんだな。古代から現代史までの節節のテーマを選び出して、これまでの「通史」に対する「論争の書」なんだな。だからいま、何が「日本の歴史学」で問題になっているか、問題にしなければならないかを論じているから、刺激的だった。

これがきっかけとなって、「戦史」を学ぶようになった。すると、重要なことを知ることになった。あの1937年のシナ事変のときの近衛内閣の閣僚やブレーン、陸軍参謀本部や海軍統帥部に、ゾルゲ事件で有名な尾崎秀実を初めとした「共産主義者」がいて、ソ連邦スターリン政権とつながっていたことが分かってきたんだな。

それだけじゃなく、当時のアメリカのルーズベルト政権内部にも、国務省をはじめとして多くの「共産主義者」が中枢におり、ソ連と通じた工作を行っていたこともわかってきた。あのシナ事変や第二次世界大戦、日米戦争勃発に、世界共産主義運動の拠点「コミンテルン」の工作が大きく影響しており、日本、アメリカの政権中枢にも浸透していたということや。これは驚愕だった。

◇紅葉 それはどんな文献で知ったの?

◆山猿 1928年から1932年まで内務省保護局で共産主義の理論と実践活動を調査研究する仕事に携わり、1935年まで拓務省管理局で、朝鮮、満州、中国の国際共産主義活動の表裏両面の調査に没頭し、1936年から敗戦まで衆議院議員を務めた三田村武夫というひとが、戦後の1951年に『大東亜戦争とスターリンの謀略』という書物を自費出版されている。

俺はその本の復刊本を、偶然古本屋で見つけて読んで、その書かれている内容に衝撃を受けた。その後その本が同じ題名で、1987年に自由社から出版されていることを知り早速手に入れたというようなこともあった。今では「その筋」では、有名な本になっている。

それからやな、「裏の真実」に関心を持つようになっていったのは。国際共産主義運動、コミンテルンの歴史で、三田村武夫が書いてるようなことはまったく知らなかった。「公的なコミンテルン史」だったわけだ、俺が知っていたのは。

たしかに、コミンテルンの日米政権にたいする工作のすごさは、関係書物を読んでいくうちに次第に分かっていった。しかし一方、疑問も深まっていったのも事実や。資本主義国の本家本元のアメリカや反共主義の強かった日本の当時の政権中枢に、なぜそんなにやすやすとコミンテルンのスパイが入り込み暗躍できたのかという疑問だった。これはなかなか解けなかったな。

◇織田 すごい話やな。それで、山猿の疑問は解けたの?

◆山猿 3,4年かかってようやく分かってきたよ。それがもうひとつの疑問だった日本のバブル、デフレ経済にたいする疑問と重なるようにして、理解できるようになったんだよ。

①1917年のロシア革命は、レーニンやトロツキ-、スターリンの指導のもとでなしえたことになっているけれども、彼らはあくまで工作員であって彼らにそのための資金と指示を出していたのは、国際金融カルテルだったこと。

②ヒットラー政権を作り、連合国と闘わせたのも「国際金融カルテル」の戦略だったこと。

③1929年の世界恐慌も、今回の世界金融危機を引き起こしているのも、「9・11テロ」を仕組んだのも、連綿と続く「国際金融カルテル」の綿密な計画の実行だということ。

◇紅葉 おいおい、またそんな極端なことをいうと、「いかれている」と思われるよ。

◆山猿 そうやろな。だけど、思っていることははっきり言わんと議論にならんからな。その根拠を示すとなると長くなるから、ここでは展開できないけど、誰もが納得する根拠が今では明らかになっているんだな、その気になってきちんと調べればね。

「確かにアメリカは一部のユダヤ系アメリカ人に牛耳られているので全てが謀略のような気がします。我が社でもアメリカ資本の某顧客はとても商売が汚く、策略的で僕らは『ユダヤ商法』と嫌っています。山猿の言っていることをだんだん信じ出してきた」って、Yが書いている。

Yの会社は、その部門では世界一の技術を持っている企業や。それがここ数年の間にいつのまにか外資系資本が30数%を占める株主となり、筆頭株主はなんとあのJPモルガン・チェースというアメリカのメガバンクや。この銀行は、ロンドン・シティのロスチャイルド財閥の系列で、同じロスチャイルド系列の「ゴールドマン・サックス」と並んで、今回の金融恐慌で「勝ち組み」となった国際金融資本や。

いま日本の高い技術力を持っている企業の株主に、国際金融資本が軒を連ねている。この国際金融カルテルが今後どう動くのか、他人事ではないわけや、日本国民としては。

◇紅葉 いま書店では『闇の権力』とか『陰謀論』関連の書物が並ぶようになったけど、これも国際金融資本が日本企業の株を買い占めてきている事と関係あるのかな。

◆山猿 関係しているだろうな。今年になってほんまに増えている。玉石混交やから、気をつけないといけないけどね。意識的に国際金融資本が情報錯乱を狙って、御用学者に書かせている書物もたくさん出版されている。

こんな状況を充分踏まえて、これからの日本の経済・財政施策を打っていくことが重要なんやけど、今後の民主党政権にそれができるのか、打ち出す政策を注視していかざるを得ないんやな。


  

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2009年11月08日

マインドコントロール

◇紅葉 更なる疑問が届いている。

『もし、政府が長期国債という形で「600兆円、700兆円」のお金を活用してこなかったとしたら、借金恐さに税収の枠内での公的支出しか行ってこなかったら、今日の「250兆円の純債権と1000兆円の個人純資産、毎年500兆円の国民総生産」を生み出すことなど、絶対に出来なかったはずや。ここが理解できるかどうかが次のポイントや。』

という山猿の話への疑問だ。これは先のSの問題提起とも重なっている部分も多いので、ここから話woつなげて行きたいんだけど、どう、山猿。

◆山猿 疑問は尽きないな。これは当たり前のことであって、これまで政治家や経済学者、メディアが長い間、間違った経済.財政論を国民にタレ流し続けてきたから、俺らの頭に無意識のうちに刷り込まれてしまっている。この「マインドコントロール」から抜け出すのは、「オーム真理教」から解脱するより難しいとさえ、俺は思うよ。だから疑問は尽きないんだ。疑問が出てこないと、いけないんだ。

Sが、「『国債を刷れ』という言葉に対して、自分も同じような考えがあって、なかなか自分の考えをまとまらなかった。最近、なんとかまとまってきたように思うので聞いてほしい。ぼくも『どうも打ち出の小槌のようで楽観的過ぎるような気もするが』という疑問があり、ずっと「国債を発行して経済成長」論の前提条件は何かを考えてきた。」

と書いている。俺もまったく同じ経過だったな。俺は、1986年以降のバブルとその後の90年代からのデフレ不況がなぜ起こっているのか、疑問でならなかった。

いろんな経済本を読み漁ったが、どの書物もそれなりに勉強にはなったが、どこか「くもの巣」がかかったようで、疑問は晴れなかった。はっきり分かるようになったのは、丹羽春喜の『日本経済再興の経済学』(原書房・1999年刊)を読み出した2000年ごろからやった。それから、リチャード.A.ヴェルナーの『円の支配者』(草思社.2001年刊)に出会い、2人の出版されているほぼ全著作を読み、政治家や官僚、エセ学者の「マインドコントロール」から徐々に解脱していった。

2007年の「サブプライムローン危機」については、当初は俺もそんなに危機感を持っていなかったが、2008年の「リーマン.ショック」以降「これは大変なことになる」と感じた。鬼塚英昭の『八百長恐慌!』(成甲書房 2008年刊)に書かれてある内容が、俺がこの間考えていた問題と一致したからだった。そして例の廣宮孝信.三橋貴明氏の著作に出会ったわけや。
その10年あまりの間に、小泉構造改革から、郵政選挙、参議院選挙、そして今回の衆議院選挙があったわけだが、自民党も民主党も「マインドコントロール」にかかっていて、「日本経済再興の経済.財政政策」を国民に明確に指し示すことが出来ないでいる。

俺はその間、機会あるときに自民党、民主党の何人もの国会議員、地方議員らと、許された時間で議論もしてきたが、彼らの「マインドコントロール」を解くことは出来なかったな。

だから理解すればするほど、さらなる疑問がわいてくるというのは、それはほんまにあたり前のことであって、この「さらなる疑問」こそが、いま議論している俺らの「宝物」であって、この疑問に徹底的にこだわりながら、それぞれの経験と知恵を絞って「この疑問を晴らす」ための協働作業が大切なんだと切実に感じるわけだ。

◇紅葉 なるほどな。知れば知るほど、疑問も深くなるって言うのは、よくわかるね。Tの疑問からまた始めようか。

①それは違うと思うな。国債は、需要を刺激するけれども、国債そのものが価値を生むわけではない。今の日本の経済力は日本人の高い技術力、仕事に対する姿勢、等々といった力が価値を作り出し、それが市場に認められたからこそ経済力に繋がったんであって、国債はそれの一助にはなったかも知れないが、国債が価値を作ったわけでは決して無い。
日本の製造業の強さも、日本人の器用さ、現場の強さとか向上心、等々といった日本人特有のものが有ったからこそと思う。

と、書いているけど、これについてどう思う。

◆山猿 「国債は、需要を刺激するけれども、国債そのものが価値を生むわけではない。」ってことは、その通りであって、「日銀券そのものが価値を生むわけではない」ということと同じや。このときの「価値」と言うのは「付加価値」のことであって、労働によって新たに生み出される、すなわち新たに生産される国民生活に必要とされる「有用価値」のことや。

国債や日銀紙幣は、それ自体に価値があるわけではなく、それらを媒介にして、Tが言うところの「日本人の高い技術力、仕事に対する姿勢」=「日本経済の潜在力」を十全に顕在化させ、国民生活に必要な「付加価値」を充分にいきわたさせるということや。

「日本の製造業の強さも、日本人の器用さ、現場の強さとか向上心、等々といった日本人特有のものが有ったからこそと思う。」ということもその通りや。

なぜ「日本人特有のものが育った」のかということは、それこそ「日本文明論」に関わる重要な問題を含んでおり、それを議題に話するのもおもしろいというか、勉強になる議題なんだけれども、今その議題には触れる余裕はない。

だけど、ともかく「日本の製造業の強さも、日本人の器用さ、現場の強さとか向上心、等々といった日本人特有のもの」を,従前のように顕在化させ、国民経済に生かすための経済財政政策こそが求められており、そのための「手段」として、「国債」なり「日銀紙幣」を政府が活用すべきだということや。

しかしながら、小泉「構造改革」と国際金融資本カルテルが進めてきた「グローバリズム」という名の市場「原理主義」の「マインドコントロール」によって、「日本の製造業の強さも、日本人の器用さ、現場の強さとか向上心、等々といった日本人特有のもの」が、どんどん破壊されていっているというのが、この間の状況ではなかったのか。

◇紅葉 「国債」が「手段」であるということでは、同じ考えやな。それでや、次の疑問についてはどう考える?

②現在、経済力があるから、そして資産があるから国債を発行し需要を喚起するのは大きな意味があることは分かった。しかし、国債はあくまでカンフル剤であって過剰な期待をするのは間違っていると思うな。今の日本は力があるから、そのバランスが少々崩れていてもビクともしないけれども。家庭とか組織と同様、収支のバランスが取れていることがやはり基本と思う。

◆山猿 「国債はあくまでカンフル剤であって過剰な期待をするのは間違っていると思うな。今の日本は力があるから、そのバランスが少々崩れていてもビクともしないけれども。家庭とか組織と同様、収支のバランスが取れていることがやはり基本と思う。」ってところやけども、ここは、Tの考えと俺とは違ってくる。

「家庭とか組織と同様、収支のバランスが取れていることがやはり基本と思う。」でいうところの「収支のバランス」って、「どの収支のバランス」のことを言っているのかということや。収支バランスには、先にも書いたように「ストック」と「フロー」の二つのバランスがある。

ストックでみれば、資産.負債のバランスシートでみれば、次のようになっている。
〈1〉 国全体の純資産    +240兆円
〈2〉 政府の純資産     -504兆円
〈3〉 金融機関の純資産   -11兆円
〈4〉 法人企業の純資産   -340兆円
〈5〉 家計の純資産    +1,067兆円
〈6〉 非営利団体      +35兆円

つまり<2>から<6>までの経済活動によって、<1>の国全体の純資産が240兆円となっているわけで、政府と民間企業、銀行が855兆円の純負債・借金をしてきたことによって、家計と非営利団体に1100兆円の純資産を生み出し、国全体で差し引き240兆円の海外金融資産を持っているということや。

何が言いたいかといえば、家計も企業も政府も、それぞれの組織内部の「負債と資産のバランス」というのか、「負債と資産」を一致させていないということや。一致させていないからこそ、経済発展ができるということなんやな。

これは、考えてみたら当たりのことであり、どの組織も家計も「収入の枠内で支出」しているわけではなく、ここでのストックで言えば、政府も企業も金融機関も家計も「貯蓄の範囲内で支出したり投資」してきたわけではない。家計でも住宅ローンを組む時は、いまある貯金以上の額を借り入れすれば、その家計の純資産はマイナスになるし、企業は銀行からの「融資.借り入れ」で運転資金を賄ったり設備投資をする。政府は国債を発行して、政府支出を増やす。

「借金」することで、はじめて市場経済に出回るお金が増える。そのお金が回りまわって(乗数効果)で、勤労者の所得や企業の利益となり、家計支出や企業投資が増えていくと経済が活性化して、フローのGDPが増えて行く。

本来はそのようにして経済は拡大していくわけやけれども、1990年代以降のデフレ不況で、日本経済は政府の国債残高が積み上がるだけで、フローの名目GDPはいっこうに増えず「低迷」と「減少」を続けている。こんな状況が10数年も続く中で、「いつまでも積みあがる国債が良い状態とはとても思えない。これではいずれ国民の預貯金を上回り、国外に頼らざるを得ない状況になると思う。」と心配するのも、「当然」というか、「無理」ないと俺は思う。

ここで、「なぜ80年代後半にバブルが起こり、90年代以降デフレになったのか」、この一番日本経済にとっての重大な問題について、いまだ一般的には明らかになっていない。表面的な分析は山ほどなされてきたけどね。これを明確に明らかにしたのが、リチャード.A.ヴェルナーや丹羽春喜の一連の著作なんだ。

国民が「赤字国債」を「心配」することは、「当たり前」であり、「無理ないこと」だということは、俺は充分理解できる。でも「理解できる」ということと、経済論的に「正しい」ということは違うから、この「経済.財政」政策っていうのは、複雑で一筋縄ではいかないんだな。ここをうまく悪用して、国民を騙し「マインドコントロール」にかけている国際金融資本カルテルの手先となっているエセ経済学者や官僚、メディア、そして政治家が確実にいる。

この「カラクリ」を理解しないと、Tのいう「日本の製造業の強さも、日本人の器用さ、現場の強さとか向上心、等々といった日本人特有のもの」が、この日本からどんどん消えていく。既にかなりの部分がなくなっていると、誰もが危惧しているはずや。ただ、「時代の波には逆らわれない、いつまでも古い考えにこだわってたら時代遅れになる」ってことで、自らを納得させているのが、いまの国民の一般的傾向やと、俺は思っている。

今日はこの辺にしておきたい。

  

Posted by minoh at 16:39Comments(0)TrackBack(0)金融危機

2009年11月03日

生き生きした疑問

◇紅葉 この間、Tから『お薦め本』の感想、Sからも書き込みが届いている。これらをいま、まとめてじっくり読んでると、本当に重要な疑問と言うか、ポイントが出されている。これらを議論することはいま、本当に大切だと痛感するよ。でも、これらの疑問は一筋縄ではいかない難しい疑問だと思うんだが、どう、山猿?

◆山猿 ほんまや。Sがちょっと前に言っていたこと思いだすな。「わかっているつもりでも、いざ説明しようとすると、ほんとに難しい」って。でも、これがいいんやな。
あるまとまった「問題提起」を投げかけられることで、日頃何となく思っていることが鮮明になってきて、「疑問」としてみんなに投げ出す。この日常生活を営む中から生まれてくる「疑問」をテーマにお互い「ない知恵」絞って考える、このプロセスが、俺らの老化しつつあるかも知れん「頭脳」を活性化させるんと違うやろか。

◇紅葉 Tの「図書館利用法」は参考になるね。

《 図書館って本当に便利です。読みたいと思ったらすぐにPCから申し込めるし。図書館に無ければ購入を依頼することもできる。少し時間がかかるけども。図書館を利用するようになって本を買うことが少なくなった。本に線を引くことは出来ないけど、僕の場合は付箋をつけて後からコピー取るんです。 》

◆山猿 たしかにな。そうなんや、図書館では「購入を依頼」できるし、府や国の図書館とも連携してして「古書」を取り寄せることもできるしね。
「本に線を引くことは出来ないけど、僕の場合は付箋をつけて後からコピー取るんです」って言う「利用法」には、「目からうろこ」やった。最近コピー代は「5円」やから経済的やし、「コピー取る」ってことで、読むのにも「集中力」が加わり理解が深まる。そしてそのコピーの整理や収納の作業をすることでさらに「印象」も強まるし。なるほどな、これから増える本の保管やかさばる本代を考えると、俺らの年代には、「T利用法」もいいかもしれない。

◇紅葉 ほぼ共通理解に達している点はいま、省略して、疑問点というか、議論したいと問題提起しているものを列記してみるよ。それぞれに山猿の考えを加えてくれたら、ありがたい。

《Tの疑問》
①たしかに、国内需要が重要だということ。その需要を喚起するために政府支出を増やす必要があること。それは分かるのですが。だけど、なぜ需要が増えないのか。「需要を増やし、経済を無限に成長させることを前提に考えること」がおかしいのではとも思う。今後、国民の貯蓄は減少し、国債は積み上がる一方、経済が強いといっても我々国民の生活にその実感は乏しい。


◆山猿 なぜ需要が増えないのか。これは例のGDP(国内総生産=国内総需要)の恒等式、
名目GDP=民間最終消費支出+民間設備投資+公的最終消費支出+公的設備投資+純輸出を常に思い出すことや。

公的最終消費支出+公的設備投資以外は、すべて国際国内の景気動向に左右されざるをえない項目や。だから景気が悪くなると縮小していかざるをえない。唯一、「公的最終消費支出+公的設備投資」だけが、景気の変動に従属するのではなく自立的に「増やしたり減らしたり」できる。

だから不景気で民間の総需要が減っているときは、公的部門が意識的に需要を拡大して民間総需要の減少を相殺すると共に、出来る限り国内総需要をプラスにすることで、民間最終消費支出+民間設備投資+純輸出部門を活気付けて不況を乗り越えることが必要だ。これは昔も今も変らない景気対策の鉄則なんだけど、まず、これを支持出来るかどうかが第一のポイントや。

次に長引くデフレ不況で税収は減少するなか、ただでさえ国債残高が積み重なる一方の政府財政状況のもと、公的部門が需要を拡大するためにまた多額の「赤字国債」を発行し続けて、「将来どうなるんだろうか」てことが問題になるんやな。

この点については、「需要を増やし、経済を無限に成長させることを前提に考えることがおかしいのではとも思う。今後、国民の貯蓄は減少し、国債は積み上がる一方、経済が強いといっても我々国民の生活にその実感は乏しい。」という疑問にどう応えるかやな。

この疑問については、例の「お勧め本」でも展開されていたと思うけど、要は日本国全体の
金融資産・負債のストック(バランスシート)と、1年単位のフロー(GDP)の両面から考えるとよく理解できる。

ストックの面から見ると、日本国は純資産が250兆円ある世界最大の債権国で、国内でも個人の純金融資産が1000兆円で、公的部門が抱える純負債500兆円の2倍になっている。これは過去10数年変わらない傾向で、日本のバランスシートは世界一健全なんだ。この1番重要なところを、経済を語る政治家もマスコミに出てくる経済学者の誰一人として、説明してこなかったし今もしていない。この最重要なことをきちんと説明しているのは、廣宮孝信・三橋貴明氏だけなんだよ、今の日本では。実に驚くべき、悲しむべき経済論壇状況なわけや。

世界一健全なバランスシートを維持している日本経済であるにもかかわらず、1年単位のフロー(GDP)経済がこの10数年低迷を続け、昨年のリーマンショック以降、日本経済は「低迷」から、いよいよ「減少」という最悪の状況に陥ち入りつつあるということや。それが失業率の上昇と税収の激減に象徴的に現われている。

この1年単位のフロー(GDP)経済を、どのようにして「減少」から「上昇」に向かわせるか、これが政府の「景気対策」「経済政策」にかかっているというわけや。ここまでは、みんな異論ないと思う。

◇紅葉 次の疑問に移る。

②三橋貴明の本の内容、少し楽観的な気もします。「消費税アップの必要なし、歳出削減の必要なし、政府の国内の借金は 返済の必要はなく繰り延べするか、日銀券で賄えば良い」とのこと。しかしやはり気になる。国内の債権・債務だからチャラとのことだけど、やはり最終的には国民にしわよせがくるように思う。


◆山猿 この疑問にどう応えるか。これまでと違う切り口から説明してみる。
政府の借金、すなわち「国債残高」のことなんだけど、この長期国債600兆円とも700兆円とも言われる額をみると、「こんな借金どうしたら返せるのか」って将来に不安を感じるのは、もっともや。
だけど、政府の「借金」は、国民から見れば「資産」だということは、この間の議論で書物で理解できるやろ。不安は解消できないけどね。

そこでこう考えたらどうだろう?
借り手=政府、貸し手=銀行.機関投資家.国民ということになるわけやけど、10年物の「国債」を「10年満期の定期預金」と考えるわけだ。その利子が国債の利率であり、10年たてば元金は額面どおり「償還」されるわけや。政府に「預金」しているわけや。

これは、何しろ保証主体は日本国政府やから、どんな大銀行に「預金」するより「安全」な「金融資産」であることは間違いない。どんな健全な大銀行も、日本政府がつぶれても安全でいられる銀行はないわけやから、「国債」は日本一安全な「銀行」に「定期預金」しているということなんだ。

日本政府は、これまで国民から、長期国債という形で「600兆円、700兆円」のお金を預金してもらったお陰で、その資金を活用して国内のインフラや社会保障制度を整備して今日の日本国を築き上げてきた。その恩恵をこれまでも今も、国民全体が享受しており、世界金融危機の中でもそれなりの生活が出来ているといえる。

つまり、「600、700兆円」のお金を政府が有効活用できたお陰で、250兆円の純債権と1000兆円の個人純資産を生み出し、そして毎年500兆円の国民総生産を作り出している。

もし、政府が長期国債という形で「600兆円、700兆円」のお金を活用してこなかったとしたら、借金恐さに税収の枠内での公的支出しか行ってこなかったら、今日の「250兆円の純債権と1000兆円の個人純資産、毎年500兆円の国民総生産」を生み出すことなど、絶対に出来なかったはずや。ここが理解できるかどうかが次のポイントや。

国債は、確かに政府の「借金」やけど、国民の「預金」と考えれば、そんなに「国民が一挙に預金を引き出す」=「政府が一挙に借金を返す」ことは必要ないわけで、物入りで定期預金を崩す必要がある人は「国債を償還」し、預金したい人は「国債を買」えば、いいわけや。すべて需要と供給の関係や。

銀行が経営危機に陥ち入り金融恐慌を誘発する恐れがあるとき、「公的資金」を投入して危機を救ったように、政府の国債発行『銀行』が、何らかの理由で「危機」に陥ったときは、それこそ日本銀行から「公的資金=日本銀行券」を投入することに、国民は誰も反対しないはずや。何しろ、国民全体の公的利害に関係する国債なんだから。

くりかえす。「借金」やと思うから「早く返済しないと大変や」と思い込んでしまうけど、国民の「預金」やと思えば、「その預金を政府が国民のために有効活用する」と考えれば、その預金の額の大きさに、ことさら不安を感じる必要はないということや。

Sの問題提起にも応えようと思ったが、ちょっと疲れた。次回にまわしたい。

《Sの問題提起》

③「国債をすれ!」と主張している人たちは、「国債を発行して、経済政策を!」と主張していると理解しているのだけれど違うかな。すくなくとも国債を発行して福祉政策をとは言っていないと思う。ということで、現在国債は充分発行できる状況だけれども、今の状況を維持するためには細心の注意が必要だと思う。

すくなくとも、国債を発行して入手した資金は、経済が成長するように使われるべきだと思う。このことは重要、つまり問題は、国債を発行するかどうかではなく、国債を発行して作った予算をどのように使うかだと思う。このことはもうすこし強調されるべきだ。そしてそのことがもう少し議論されるべきだと思っている。

④国債も発行すればいいものではない、なにをするにあたっても、うまいやり方とまずいやり方はある、ということだと思う。経済成長につながる国債発行は、よい国債発行。経済成長につながらない国債発行は、悪い国債発行。これから民主党の予算が立案されるが、赤字国債、そして予算の使い方、そして経済政策に注意していきたいと思っている。
  

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2009年10月11日

へちゃでもくちゃでも議論を

紅葉 前回の話の続きをしよう。

③これからの子や孫に借金のツケを回してはいけない。毎年毎年数十兆円づつ積み増しで、決して借金が減ることは無い。そういう構造になってしまっている。これが最大の問題だと思うけども。

山猿 日経新聞に「大機 小機」というコラム欄があり、10月9日の朝刊のコラム記事がおもろかった。日経新聞は経済の「事実、データー、経済用語の解説」記事は、さすが他紙に抜きん出て詳しくタメになるんやけど、それに対する評価記事や社説になると、これはもうどうしようもない「ダメ記事」やと俺は思う。でも、そのなかでもコラム「大機 小機」には、何ヶ月かに1回、キラリと光るコラムが載るんで見逃せないんだな。

紅葉 その10月9日の「大機 小機」のコラムに何が書いてあったの?

山猿 「日本経済の行方を握る鳩山財政」という見出しやった。内容をかいつまんで言うとこうなる。
① マニュフェスト施策のための財源探しで、今年度の補正予算の一部底止で2,5兆円を確保し、目標は3兆円で、来年度の支出に当てる。

② 当面の景気は、補正予算の執行で「持ち直し」に転じつつあると言われており、実のところ「失速」の懸念もあり、補正予算の執行停止でリスクも大きくなる。鳩山内閣には、充分な景気認識はないのだろうか。

③ 雇用対策の検討が始まったが、効果が出るのには時間がかかる。そうなると公共事業や大学の施設整備の追加のように、需要創出力が速くてしっかりしている設計済みの土木・建設の支出になりがちだ。補正予算の見直しも、こうした点と関連付けて評価すべきである。

④ 来年度予算もゼロベースで厳しく見直され、かなりの緊縮予算になる見込み。40兆円と言われるデフレギャップにあえぐ日本経済の運命は、今後も財政政策の行方にかかっている。

⑤ しかしまずは、予算編成がスムーズにおこなわれるよう、祈るような気持ちで見守りたい。
というわけや。

この記事を読んで俺は思わず苦笑いしてしまった。いかにも日経らしい複雑な論理展開や。「まともやと言えば、まともや」し、かといって「これまでの日経の論調を曲げるわけにはいかない」ということで、「祈るような気持ちで見守りたい。」ってことになってしまうわけや。

紅葉 ヘえ、そんなコラムが載っていたのか。
「補正予算の執行で『持ち直し』に転じつつあると言われており、実のところ『失速』の懸念もあり、補正予算の執行停止でリスクも大きくなる。」って、日経も実はわかっているわけや。

山猿 そりゃそうやで。どうしたら景気が回復するか、彼らは充分わかっている。だけど、これまでも今も、日経は絶対、景気回復のための有効策を提案してこなかったし、「公共事業の削減、財政再建や消費背税の値上げ、構造改革こそが必要」とか言って、麻生内閣の景気対策を批判し続けてきた。日経に代表される今のメディアの目的は、日本経済の景気回復なり、国民の生活向上とは「逆」のところにあるんだから仕方ないけどな。

今回のコラムのように『大機 小機』には、たまに出てくるんだよ、正論が。それにしても今回はおもしろい。結論があいまいで、結びが「祈るような気持ちで見守りたい」だからな。

紅葉 前回の話で、政府がこれからも国債を発行し、景気対策を打っても日本経済はびくともしないということは、それなりにわかった。だけど、いくら政府の負債は国民の資産だといっても、積みあがる国債(負債)は、いつか政府が国民に返済せんといかんわけやから、その財源は結局、国民の「税金」から返済しないとあかんわけでしょ。国民はそこに不安を感じているわけだし。

山猿 今の指摘が、ポイントやな。「政府の借金は税金で返すべきか」ってところや。実はそこを
廣宮孝信氏は最大のテーマにしているわけや。題名がまさに『国債を刷れ!「国の借金は税金で返せ」のウソ』だからな。

廣宮・三橋両氏は、「政府の借金は税金で返すべきではない」と一貫して主張してる。それで世界のどの国も「政府の借金を税金で返している国など一つもない」とまで言い切っている。では、どうしているのか?

① 国債の償還日がきたら、ロールオーバー(繰り延べ)する。
② 金利が安い時期であれば、返済のための新たな国債を発行する。
③ FRBやイングランド銀行がいま大々的に実施しているように、中央銀行が国債を大量に購入す
る。
④ 政府が『政府紙幣』を発行して国債を購入してもかまわない。企業や地方自治体、家庭が勝手
に円を印刷することは出来ないが、政府は『貨幣発行権限』をもっているから円を印刷して債務を償却すればいい。

⑤ そもそも日本円なり政府紙幣を発行する権限を持っている政府が、『日本円建て債務=国債』の返済が出来なくなって、破綻するなど起こりえない。夕張市などの一地方都市と日本政府を同一視することが、間違いなのだ。

というわけや。

紅葉 国債は「円建て債務」やから、いざとなったら政府が円を刷って返済すればいいってことだけど、そんなことすれば、円の値打ちが下がって「インフレ」になって国民生活はまた苦しくなるって批判されるけど・・・

山猿 ここなんやな、次に問題となるのは。
政府が「円」を刷って政府の独自財源として活用することは、法的にはできないことになってる。だから替わりに「国債」を発行して、「国債」を金融市場から円を借りる方法がとられている。その金利が国債利率や。

不況で運用先に困っている銀行以外の機関投資家の保有する「円」を借りる場合は、国全体の通貨量は変わらないわけやから、インフレにはならない。ただ、その国債を普通銀行や日銀が引き受けた場合は、例の「信用創造」が働いて新たにお金が生まれるから、インフレになる可能性はあるといえばある。

しかしや、いまの日本経済は1998年以降GDPデフレター(消費者物価と企業間取引の物価の両方を含み、原油などの輸入物価は含まないので、国内の需要と供給のバランスを見るときに一番正確な物価指数といえる)は、ずっとマイナスで、180カ国のうちで一番低いデフレ不況が続いているんやで。10年以上も下がりっぱなしなんて世界に例がないんだ。おまけに、消費者物価(輸入品も含む)もほぼ同じように下がっており、去年に限って石油の値上で1,6%上がっただけや。それでもインフレ率は180カ国で下から3番目や。今年に入ってまた消費者物価も下がっている。

こんな時にというか、デフレ不況が10年以上続いているなかで、さらに昨年からの国際金融不況のあおりで世界的に総需要が激減し、純輸出がゼロ近くにまで落ちているいまの日本経済。このままでは、輸出企業は設備投資をしないどころか、生産調整を強いられ稼働率を下げているし、輸出企業の下請け企業への発注は激減、倒産も増え失業者は増えるいっぽうや。その影響はもろに、国内産業、商工業を直撃しているわけや。

企業利益も勤労者所得も減るから当然税収も減る。今年度46兆円見込んでいた国家税収が6兆円不足すると報じられている。生活保護世帯数は過去最大になっていると言うし、雇用保険の支給額も膨大になっていく。政府支出はますます増えていく。そして税収はマイナス、今の日本経済はこんな状況の中にあるって言うことをきちんと踏まえて景気対策を議論しないといけないわけや。

となるとや、前回も言ったけど、ここはどうしたって政府(地方自治体も含めて)が、需要拡大のための景気対策を連続的に打たないとだめなんや。「企業や家計に需要を拡大しろ」といったって先行き不安と所得の減少で出来ないんだから。

そのために政府があるといえるんだから、ここは大量の国債を銀行や直接日銀に引き受けさせて購買力を政府が生み出し、名目GDPの減少を食い止めると共に、市中に出回るお金が増えることで民間の経済取引を活性化させることで、名目GDPが増えていく。名目GDPが増えていけば、企業も勤労者所得も増えるから税も自然増になるとともに、国債発行額も減っていくから、自然と国債残高
のGDP比も減り、健全財政に近づいていくということや。

「国の借金を税金で返せ」なんて言うのは、とんでもない話で、そんなことすればますます民間消費支出が減ってGDPがさらに減少し、国の借金がますます増えるって事になる。

紅葉 そう考えると、鳩山政権の財政政策は、小泉政権と同じように感じるな。

山猿 その通りなんだよ。悲しいのは、これは民主党議員だけじゃなくこれまでの自民党議員の多くも同じ発想なんだから、いま八方塞なんだな。被害を受けるのはいつも国民・庶民の生活やと言うことや。

国民の大部分は日常の生活や仕事で精一杯で、マクロ経済について突っ込んで考えることなんて、できる時間的余裕がないし、日常の生活感覚で経済を考えるから、「赤字は大変だ」ってことになるのはやむを得ないんだ。

それを「ちがうんですよ。こうすれば日本経済は発展して生活もよくなります。それだけの経済力を私たちの先輩や私たちが力をあわせてつくりあげてきたんです!」って言って具体的政策を提案するのが政治家やマスメディアの本来の仕事なんやけど、なかなかそんな政治家が現われてこないのが現状や。ここは、やはり国民一人一人がちょっとでも賢くならないとどうしようもないわけや。





  

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2009年10月04日

誰もが感じる疑問

紅葉 これからの会話に、いまわが国全体の経済の実態がどうなっているのかについて、事実の共有が重要だと思うから二つのデーターを用意した。①日本の国全体の経済のバランスシート(貸借対照表)と、②GDP(国内総生産・国民総所得)や。

(1)日本国家のバランスシート  2009年6月末日(速報値)

①資産の部  (単位・兆円)
政府       475
金融機関    2728
法人企業     796
家計       1441
NGO        54

資産合計    5493

②負債の部
政府       979
金融機関    2738
法人企業    1136
家計        375
NGO        18
負債合計    5246

③純資産 
政府      -504
金融機関    -11 
法人企業   -340
家計       1067
NGO        35
純資産合計    247

④ 
対外債権   557
対外債務   312
対外純資産  245

    
◇日本政府の数値は、地方政府分を含む。
◇日本国家の純資産247兆円と、対外純資産245兆円には少し差があるが、これは四捨五入の誤差によるもの。正しい日本の純資産は、245兆円。
◇上記バランスシートは金融資産のみで、有形固定資産は含まれていない。

(2)【2008年度の名目国内総生産(GDP) 単位兆円】

名目GDP(496)=民間最終消費支出(287)+民間住宅投資(15.9)+民間設備投資・在庫(81.3)
+公的最終消費支出(92)+公共投資(19.8)+純輸出(0,69)

山猿 ありがとう。そうなんやな、まずこの二つの指標をいつも見ながら議論しないと、経済は語れるわけがないのに、この指標を踏まえて語る官僚や国会議員・地方議員、メディアや経済学者・評論家がほとんどいないのが日本の現状や。この経済論壇の閉塞感を打ち破ったのが、お薦めの三橋貴明、廣宮孝信というわけや。

「数字を見るだけで頭が痛くなってくる、それもバランスシートとか何とか、経済用語や会計用語を使われるとたちまち思考停止に陥ってしまう」って人もいるけど、これから話することは、税理士しかわからんような内容じゃなく、それこそ「高校生でも分かる」話やから、我慢して聞いてくれ。

まず(1)のバランスシートや。これは以前も、ちょっと説明した。今回の皆の疑問と関わってくる。

①国と地方自治体の借金が900兆円もあり、GDP比180%で世界最大。国民一人当たり700万円近くの借金を抱えた借金大国日本は、これ以上国債を増発すると破産する。

この国と地方の借金900兆円というのが、(1)のバランスシートの「政府の負債 979兆円」にあたる。この政府の負債979兆円には国債・地方債残高だけではなく全ての金融負債を含んでいる。
いま、「国家財政の危機」とか「破綻」とか言われているのが、この979兆円や。

この膨大な数字だけ見ると、誰もが「こんなに負債抱えてどないなるんやろ」って不安になるのは無理もないが、ここの数字だけ見るから、そう感じるわけで、「政府の資産」を見れば475兆円もある。差し引きすれば、979-475=504兆円。GDP比でちょうど100%ぐらいに落ちる。負債額だけを取り上げて判断することはできないと言うことや。

非金融機関、すなわち民間企業の金融負債を見れば1136兆円やで。政府の負債よりも大きい。ここの数字だけ見れば、「日本の企業は破産危機や」ってことになるし、「従業員一人あたりの借金は・・・」ってことになるんやけど、当然ながら、誰もそんなあほなことは言わない。

また、家計の資産・負債を見れば、びっくりするぐらいの純資産額になっている。おまけに政府ではなく、政府を含む国全体の純資産が245兆円や。これは、ダントツの世界1位であり、2位のドイツ140兆円前後を大きく引き離している。日本という国は、金融資産のストックで見れば、世界最大の「金持ち国」なんだ。

家計の純資産が1,000兆円以上もあり、対外純資産も240兆円以上ある国が、「これ以上国債を増発すると破産する」なんて言ったら、世界の笑いもんになるだけや。G8でもG20でも、各国首脳は、「日本が財政破綻する」なんて端から思っていないし、「いかにして日本から金を巻き上げるか」と虎視眈々と狙っているというわけや。

紅葉 「ここを理解することが本当に大切や」と、僕も実感する。そこでなんやけど、まだまだ国債を発行する余裕があるということは分かった。で、次の疑問にうつる。

② 国債をこのまま増発すると、国債価格が下落して長期金利が上昇し、住宅ローンや企業融資金利も上がって家計や企業の資金繰りを圧迫する。

これについてどう思う?

山猿 これって、誰にも分かるようにここで説明するとなると、ほんまに長くなる。三橋・廣宮氏の著作を読めば簡単に理解できるんやけど・・・、この簡単に分かるってことが、ほんまは実に大変なことで、あまたいる経済学者の中で、彼ら二人のように誰もがわかるように説明できる学者は、これまでいなかったと断言するよ俺は。

簡単に説明する。ほんで分からんかったら、この2人の著作をぜひ読んでほしい。
国債は国の借用証書みたいなもんや。満期が月単位の短期のものから、30年満期の長期のものまでいろいろある。10年満期以上のものを長期国債という。

それで、政府は毎年、歳入不足の「補てん=赤字国債」や公共事業用の「財源=建設国債」として、あらかじめ定めた定率の新規国債を発行し、銀行や郵貯、年金基金や生命保険会社などの金融機関や機関投資家、また直に国民にも買ってもらい資金を確保する。

一方国債を保有する機関投資家などには、毎年定められた利率で利子を受け取ると共に、満期になれば元金が返済される。もちろん、満期日がきたとき政府は、元金償還せずに、そのとき設定する新たな利率で、満期国債を新規国債へ「借り換え」することが多い。それらが国債残高となって積みあがって、いま国債残高が500兆円とか600兆円というわけや。

(国債残高の数字については、書かれている本やデーターによって違いがあるのは、短期、中期、長期の国債のどの範囲までの国債を残高に加えるかで、数字が違うから、混乱しないように。普通は1年未満の短期国債は国債残高から省かれている。)

ほんでや、国債を増発すると国債価格が下落して長期金利が上昇するってことやけど、なぜこんなことが起こるのかということや。

国債が発行されると、誰かがそれを買う。その資金は郵便貯金だったり、保険会社に入ってくる保険料だったり、公的年金の基金だったり、銀行の預金(正確に言うと、これはちがうんだけど、まあ今はそう理解してほしい)やな。

あまり大量の国債が毎年発行されると、それだけ金融機関の資金が政府資金に吸い上げられることになり、企業への融資資金や住宅ローン資金に回るお金が少なくなって金利が上がるということや。
そして市中金利が上がっていくと、既に発行されている国債の金利は定率やから、満期日前に国債を市場で売却すると国債の価格が額面より低い価格でしか売れなくなると言うことや。

いま利率2%の10年ものの国債1万円を保有していたとして、満期日前に売却する時の10年満期の定額預金の利息が2%から4%にあがっていたとしたら、どうなる。4%の利率やから定額預金では400円の利息が得られる。

かたや、10年もんの国債の利息は200円や。これでは、誰もその1万円の国債を額面では買わんわな。利息200円の一万円の国債の価格が、利息4%に相当する額5000円まで下落することで、買い手との取引が成立するわけや(これも正確ではないが、理屈を理解してほしい)。

紅葉 つまりこういうことだな。国債が市場の資金を吸収することで、民間金融機関の資金供給を圧迫し、貸出金利が上がり、それにつれて既発国債の途中売却価格が下落すると共に、新規国債金利も上がっていくということやな。市中金利が上がれば、「住宅ローンや企業融資金利も上がって家計や企業の資金繰りを圧迫する」ってことか?


山猿 そういうことや。国債は増発されるたびに、「・・・の恐れは強まっていく」って批判している日経新聞やテレビ解説者の根拠はこれや。
だけど、こんな批判は、事実が簡単に覆しているわけや。国債残高のGDP比が一番高い日本が、世界最低の金利水準を維持しているというのが歴然たる事実なんやから。

(3)08年7月の長期金利、中期金利、短期金利

    長期    中期     短期(%)
日本  1,5   日本  0,5  日本  0,7 
スイス 3,2   スイス 2,0  米国  2,8
カナダ 3,8   米国  2,0  スイス 2,8
米国  4,0   カナダ 3,0  カナダ 3,3

いま日本の10年もの国債の金利は1,3%前後をいったり来たりしているわけで、1000兆円を突破しようとしている地方を含んだ政府の借金があるにもかかわらず、国債の金利が世界最低水準のままやということや。

じゃあ、その政府が発行した国債は、一体誰がどれだけ保有しているのかと言うと(4)の表になる。

(4)国債682兆円の保有の内訳 (09年3月)
              兆円   %
民間銀行(郵貯含む)  246  36 
生損保          164  24
公的年金基金       82  12
日銀             55   8
家計             34   5
海外             41   6
その他            60   9
合計             682


実に国債の94%は国内で保有されてる。民間銀行、生損保、公的年金基金で7割以上を占めてる。この3つの金融機関なり組織の資金は、いずれも国民が預けた預金なり年金保険料が原資となっているわけやから、文字どおり「政府の借金は国民の資産」ということや。

国債金利が世界最低金利で発行できているのも、(1)の日本国家のバランスシートの「家計の純資産1067兆円」と「対外純資産245兆円」という、(政府ではなくて)国全体の財政的「余裕」がなせる業やということや。

だから、まだまだ国債を発行できる余裕を政府は持っている。もし、万一、何らかの理由で金利が上がったとしても(そんなことは、ほとんど起こる可能性はないけど・・・)、日銀の国債保有残高が8%と極端に少ないわけやから、日銀が国債をどんどん購入すれば、お金が市中に出回るから金利の上昇を抑えることができるわけや。

紅葉 これだけ、国全体としてストックとしての財政的余裕があるにもかかわらず、肝心の毎年のGDPがまったく上がらず、勤労者所得は増えず、失業率は上がる一方やし、国家財政も地方自治体財政も切り詰めないとあかんというわけで、今回の民主党政権の「公共事業・ダムストップ」政策になっていっている。

「公共事業・ダムストップ」政策も、いろんな観点から言われているけど、突き詰めれば国家予算の財政危機から来ているわけで、全てはここに起因しているといってもいいわけだと思うけど・・・・。

山猿 まさにその通りや。さっきの名目GDP(496兆円)=民間最終消費支出(287)+民間住宅投資(15.9)+民間設備投資・在庫(81.3)+公的最終消費支出(92)+公共投資(19.8)+純輸出(0,69)
を見てほしい。

これを割合になおして簡素化した式にすると、名目GDP=民間消費支出(58%)+民間設備・住宅投資(19%)+公的消費支出・公共投資(23%)+純輸出(0、14%)となるわけや。

リーマン・ショック後の金融不況の影響で、世界的な総需要の減少が続き、輸出は激減、民間設備・住宅投資も激減、このままでは名目GDPは下がる一方や。

紅葉 それで、麻生内閣は、21年度補正予算で14兆円の景気対策を国債発行でおこなったわけやな。それをいま鳩山民主党政権は、削減しようと躍起になっていると言うわけだ。

山猿 おっしゃるとおりや。こんなことでは、この年末から年度末にかけて、日本経済はこれまで以上に景気は悪化するやろう、あほなことに。ここはどうしたって、公的消費支出・公共投資を大幅に増大させない限り、「民間消費支出+民間設備・住宅投資+純輸出」が激減しているんだから、名目GDPが減少し、当然税収も激減、そして失業率だけがどんどん上がっていくことになってしまう。結果として赤字国債だけ増えると言う最悪の状況が繰り返されることになっていく。

くりかえすが、ここは、「民間消費支出+民間設備・住宅投資+純輸出」の減少を相殺して余りある額の「公的消費支出・公共投資」を大幅に増大させて、名目GDPを増大させる経済政策を継続的に打たないとあかんのや。そのための財源として、50兆でも60兆円でも国債を発行しても、先に言ったように日本経済はびくともしないわけや。

にも関わらず、鳩山内閣はその逆をやろうとしているんだから、目も当てられない「反国民的政権」と言うことになるわけや。

国債発行についてのその他の不安は、

③「これからの子や孫に借金のツケを回してはいけない。毎年毎年数十兆円づつ積み増しで、決して借金が減ることは無い。そういう構造になってしまっている。これが最大の問題だと思うけども。

④それに団塊の世代が退職し、国民の貯蓄が減少しつつあり、すでに国の借金か国民の貯蓄額を上回っているという話も聞いたことがある。

という問題やな。

この続きは次回にしよう。
これも、廣宮孝信氏の『国債を刷れ!国の借金は税金で返せのウソ』(彩図社)や三橋貴明氏の『高校生でわかる日本経済のすごさ!』(彩図社)を読めば、たちどころにわかるんやけどな。
  

Posted by minoh at 22:20Comments(1)TrackBack(0)金融危機

2009年09月22日

再開 あほな会話 最終

紅葉 「TC・日米欧三極委員会」や「ビルダーバーグ.クラブ」などに、物心両面にわたって指令.支援してきたのが、米国の「CFR.外交問題評議会」であり英国の「RIAA.王立国際問題研究所」であることは、以前から指摘はされていた。

そして、この二つのプライベート姉妹組織は、第1 次世界大戦終結後の「ベルサイユ和平会議」に集まったロスチャイルド系、ロックフェラー系の国際金融財閥によって設立された。

その「ベルサイユ条約」でドイツに課せられた莫大な戦争賠償金の分配をめぐって各国中央銀行間の金融取引を扱う国際金融機関として「BIS.国際決済銀行」が、1930年代にスイスに設立された。

以前に山猿が、各国の中央銀行は、その国の政府、国会の意思から独立している民間銀行、もしくは、半官半民銀行であると言ってたね?

山猿 その通りや。米国のFRBなんぞはその典型であって、みんなアメリカ政府の公的機関だとカン違いしているが、FRB(連邦準備制度理事会)なり、全米で12ある連邦準備銀行(米国には中央銀行が12ある)の株は100%主要な民間銀行が保有しており、その民間銀行の主要な株主のほとんどがロスチャイルド、ロックェラー系の財閥で占められているわけや。

12ある連邦準備銀行のうちで、ウォール街のニューヨーク連銀が絶対の権限をもっており、他の11の連銀を支配している。

日銀の成り立ちと現在の状況については、以前に説明したから繰り返さないが、今なぜこんなことを話するかと言うと、今回の鳩山内閣の経済.財政政策の動向と日銀をめぐって注目すべき動きが報道されているからや。

紅葉 日銀と鳩山内閣を巡る注目すべき動きだって?一体どんなことなんだい。

山猿 9月11日の産経新聞朝刊にこんな記事が載っている。
「日銀との政策協定提唱に批判続出 民主.大塚氏 火消し奔走」って見出しや。かいつまんで説明する。

総選挙告示前の8月7日に民主党本部で開かれた金融関係者向けのマニュフェスト説明会で、大塚耕平政調副会長(参議院議員)が、民主党のマニュフェスト実現のための財源裏づけのために、「国債を増発して日銀に長期国債の買い取り増額を求める方策として、政府と中央銀行が、政策協定(アコード)を結ぶ必要がある」と主張したわけや。

大塚氏は元日銀マンであり、民主党の金融政策のキーマンと目されていた。その大塚氏の「政府と日銀のアコード」発言が、「政府が日銀に圧力をかけ、日銀の独立性を脅かす危険性がある」と波紋を呼び、大塚氏をあわてさせたと言うことらしい。

大塚氏は、9月に入って「日銀の金融政策や市場オペレーションの自主性に口をはさむつもりはない。八月の説明会では、景気対策で政府と日銀が強調すると言う理念を話しただけ」と説明し、自論である「政府と日銀の政策協定」政策を急速にトーンダウンさせてしまったんだな。情けないことに。

ちなみに今回の内閣で大塚氏は、内閣府副大臣に就任している。

そこで例の藤井財務大臣や。9月18日の日経朝刊。

「日銀尊重 民主維持か 財務相が評価」という見出しの記事が載り、この間の日銀の対策について、藤井財務相が記者会見で「よくやっておられる。新日銀法の趣旨から言うとあまり政府が介入すべきではない」と強調し、「大塚アコード」政策つぶしの駄目押しをおこなったわけや。

「大塚アコード」政策の背景には、マニュフェスト実現のための財源として、日銀の大胆な金融政策の実施と日銀の結果責任を問う声が民主党内にも当然ある事の現われだったわけや。その声を真っ先に潰したのが、藤井財務相のこの間の動きなんやな。

藤井財務相は、小泉内閣の竹中平蔵とダブって見えて仕方がない。亀井金融担当相の景気回復政策の足を引っ張る元凶になるやろな。

紅葉 ところで、民主党内部でも財源論については、「政府は、国債を増発することで財源を確保し、日銀に対し長期国債の買い取り増額を求めるべきだ」という意見もあるということだけど、このことについて、どう思う?

山猿 当然や。財源論をまともに考えたら誰だって、「国債増発」になる。なぜ国債増発がダメなのか、反対している人にきちんと問い質したいよ、ほんまに。ワンパターンの反対論ばかりを、この間、聞かされ続けている。

① 国と地方自治体の借金が900兆円もあり、GDP比180%で世界最大。国民一人当たり700万円近くの借金を抱えた借金大国日本は、これ以上国債を増発すると破産する。

② 国債をこのまま増発すると、国債価格が下落して長期金利が上昇し、住宅ローンや企業融資金利も上がって家計や企業の資金繰りを圧迫する。

③ これからの子や孫に借金のツケを回してはいけない。・・・・だから消費税率を上げるべきだ。

国債発行についてのメディアの報道なり評論家の解説で、これ以外聞いたことないやろ。全てこの3つや。末部に「・・・恐れがある」をつければ、それで立派に経済評論家として通用するのが今の日本の現状なんやな、情けないことに。

日本でいちばん有名な経済紙「日本経済新聞」の記事をちょっと意識して読んでみるといい。この3つの内容そのままの記事が毎回繰り返されている。

三橋貴明氏ではないけれど、以下の3つの簡単な質問に、国債発行反対論者は答えられないんだよ。

① 国内通貨建て国債で破綻した国は一つもないのは、どうしてなんだ?

② GDP比180%と世界最大の国債等の残高を持つ日本政府が発行する国債が、なぜ10年以上も世界一の低金利になっているんだい?

③ 政府は誰から借金しているんだ?「誰かの借金は誰かの資産」と言う原則を忘れるな。政府に金を貸しているのは国民やで。なぜ政府に金を貸してる債権者である国民が、負債者になるんだい?

ほんま、まともな経済論議、財政論議が今こそ求められている時はない。メディアに期待してもダメや。

みんなまじめに仕事すればするほど、それぞれが貧しくなっていく「カラクリ」に、勤勉な国民が目覚めないことにはどうしようもないわけや。ほんまに。

(終わり)
  

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2009年09月21日

再開 あほな会話 No4

紅葉 返信が届いている。

山猿 三橋貴明氏の著作に対するコメントはすごいな。

「この人の第一の功績は、難解とされていた国際金融、国家経済を、企業の決算書を読むレベルまでわかりやすく明解にしたことだと思う。この効果だが、政治家も従来は国際金融、国家経済に関しては、専門家に依存せざるを得なかったのだが、今後、自分で理解し判断できる可能性が出てきたと思う。どうか政治家の人も、自分で経済のことを考え国家の為に活動してほしいものだと思う。」

俺が表現したくてなかなかできなかった、まさにツボを突いた秀逸な書評や。とりわけ

「自分で理解し判断できる可能性が出てきたと思う。どうか政治家の人も、自分で経済のことを考え国家の為に活動してほしいものだと思う。」

文字どおり、「自分で理解し判断できる可能性を与えてくれる」著作なんやな。政治家は当然のこと、国際金融、国家経済に関心を持ちながらも、スカッとしない国民にはうってつけのお薦め本や。

紅葉 ところで、藤井財務大臣の初記者会見時の「背筋に走るもの」を感じた「ある言葉」って、どんなことなんだ、山猿。

山猿 藤井財務大臣が、会見の途中でいきなり人事案件を発表したことや。「金融、通貨の国際的権威の元財務官・行天豊雄氏に財務省の特別顧問をお願いすることにした」という一言や。

藤井財務大臣の初記者会見の場で、いきなり「行天豊雄」という名前が出てくるのを聞いてびっくりした。それも「財務省の特別顧問」に迎えるとは。

紅葉 行天豊雄っていったい誰なんだ。聞いたことないな。それで、それがどうしてそんなに重要なことなんだ?

山猿 行天豊雄氏のインタビュウ記事が、昨日の日経朝刊(9・20)に載ってる。
「無駄を削り、埋蔵金を出す。足りなければ消費税増税しかない。後世代に借金の付けを回すのはダメだ。規制緩和と自由化をさらに促進していく必要がある」って語っている。

彼は、国際金融畑を歩いてきた元大蔵官僚で、1985年のプラザ合意やその後の円高対策などに財務官として関わってきた人や。藤井財務相とは大蔵省時代の同期らしい。これだけなら、別にどうこういうことはない。しかし彼には「表の経歴」を支える「裏の経歴」があるんやな。

紅葉 なんなんだい、その「裏の経歴」というのは?

山猿 今年の4月25・26日と都内の「ホテル・オオクラ」で「TC.日米欧三極委員会」が開催されている。確認されている主な出席者の一部は次の通りや。
D.ロックフェラー(チェースマンハッタン銀行元頭取、CFR.外交問題評議会理事長、ロックフェラー財閥当主)、H.キッシンジャー(元国務長官)J.ナイ(今回駐日大使になる予定だった元国務次官補)、M.サザランド(ゴールドマンサックス.インターナショナル会長)、K.ヒルズ(CFR理事長)、J.コリガン(元NY連銀総裁)など。

日本からは、緒方四十郎(元日銀理事)、小林陽太郎(富士ゼロックス相談役)、行天豊雄(元財務官)、船橋洋一(朝日新聞主筆)、渋沢雅秀.健(渋沢榮一財団)などなど。

この「TC.日米欧三極委員会」の後、6月には「ビルダーバーグ会議」がギリシャで行われている。
「TC.日米欧三極委員会」はロックフェラー財閥が、「ビルダーバーグ会議」はロスチャイルド財閥が中心となって毎年開催されている「国際金融財閥」の「私的な非公式会議」なんやな。

毎年、この二つの「私的な非公式会議」で確認されたことが、G7やG20などの政府間の国際会議などで正式決定されるというわけや。つまり国際金融財閥とその財閥に特別に選ばれた政治家、官僚の「裏会議」が「TC.日米欧三極委員会」や「ビルダーバーグ会議」やということや、簡単に言えば。

「TC.日米欧三極委員会」や「ビルダーバーグ会議」「CFR・外交問題評議会」そのものについては、「世界恐慌という仕組みを操るロックフェラー」(菊川征司著 09年 5次元文庫)や「日銀 円の王権」(吉田祐二著 09年・学習研究社)を読むとよく分かるはずやから、説明は省く。

「TC.日米欧三極委員会」には、これまで竹中平蔵なども出席していたはずや。行天豊雄氏は、以前から、現役の財務官時代から「TC.日米欧三極委員会」の固定メンバーだったし今もそうや。

その行天氏が、藤井財務大臣の初記者会見時に突然名指しで「財務省特別顧問」として発表されたわけだから、驚かざるをえない。大臣就任初記者会見の場でいきなり人事案件を言うなんて異例のことや。
よほど以前から、「ある所」で「練りに練られた人事」だったに違いない。誰と誰の「共謀」か。
鳩山.藤井の協議なら別に問題はない。しかしそこに「TC.日米欧三極委員会」の指示なり意向が関わっているとしたら、事態は一変する。だけど、そう見るのが普通の感覚だろう。

さすが国際金融資本系列の日経新聞は、その辺のことを充分わきまえていて、しかも肝心の裏の情報は当然国民に知らせず、他紙に先駆けて行天豊雄氏のインタビューを載せたというわけや。

このことを踏まえれば、行天氏が日経で語っている「無駄を削り、埋蔵金を出す。足りなければ消費税増税しかない。後世代に借金の付けを回すのはダメだ。規制緩和と自由化をさらに促進していく必要がある」ということの意味なり、鳩山首相の「本音」なり「バック」もよく理解できるわけや。

紅葉  なんか以前、山猿が国際金融資本の「闇の権力」だとか、「リーマンショックは仕組まれた金融恐慌」だとか言っていたが、あれと関わりがあるわけかい?

山猿 大いに関係している。だけど今はそのことについては触れないで、鳩山政権をめぐる問題に絞って突っ込んでいきたい。なぜ、藤井財務相が、先走って行天氏の人事案件を発表したのかと言うことや。既成事実化したかったんだろうな。誰に対してか?
これは俺の想像の域を出ないが、小沢幹事長や郵政.金融担当相に亀井静香氏に対する「牽制」というか、先制攻撃だと思うな。

紅葉 なるほどな。「中小企業融資や住宅ローン返済猶予問題」をめぐって、藤井財務相と亀井郵政.金融担当相の間で、既に不協和音が発生しているね。

山猿 俺は今回の内閣の最大のヒットは、亀井郵政.金融担当相の誕生だと思っている。これから藤井VS亀井の国民経済政策をめぐってのバトルが展開されるのは間違いない。亀井郵政.金融担当相は、どんどん藤井財務相を具体的政策で追い込んでいくだろう。
ここで俺ら国民は注意してみて行かんとあかんのは、メディアがどちらの立場に立っているかということや。もうすでに「亀井叩き」が始まっている。ある時期がくると、週刊「文春」や週刊「新潮」の「亀井スキャンダル」・大臣辞任劇が起こり、「無駄を削り、埋蔵金を出す。足りなければ消費税増税しかない。後世代に借金の付けを回すのはダメだ。規制緩和と自由化をさらに促進していく必要がある」というシナリオが進んでいくことになる。

いま鳩山内閣で、小泉構造改革路線と真っ向から対決し、デフレ不況から脱却し国民経済を回復させる権限と力を持っている大臣は、亀井静香郵政.金融担当相ただ一人だけなんや。この亀井氏の政治姿勢経済政策は、「TC.日米欧三極委員会」と相容れない。その尖兵として藤井・行天コンビが「TC.日米欧三極委員会」から鳩山内閣に送り込まれたと見て、まちがいないやろ。
小沢幹事長はどちらの立場か。今のところ俺は判断できない。彼がどちらの立場かで、これからの国民経済が大きく左右されると言うことだけは間違いない。



  

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2009年09月20日

再開 あほな会話 No3

紅葉 鳩山首相は、マニュフェスト実現のための財源として、国債は発行しないと明言しているね。
あくまでもムダの解消と公共事業の削減などで捻出するつもりでいるようだ。

山猿 2001年に誕生した小泉内閣と酷似している。「構造改革なくして景気回復なし」「国債発行の30兆円枠の堅持」の小泉首相、「官僚主導から政治家主導の政治」「ムダ使いの根絶、国民生活第一の政治」の鳩山内閣。16,8兆円の財源確保のために国債発行という手段を封印してしまって、あくまで現行の予算の枠内の組み換えでやろうとしているんだから、結果は目に見えている。

この頑くなな姿勢は、かっての小泉首相とそっくりや。総選挙で「国民に約束した」ということになれば、なおさら後戻りはできなくなる。自分で自分を追い込んでゆくことになるわけや。

いま、その象徴となっているのが群馬県の八ッ場ダム公共事業の中止宣言だろう。4600億円規模で既に7割の事業が終了している公共事業を中止させるって言うわけだ。「八ッ場ダム」事業がムダなのか公益があるのか、当然ながら俺には判断できないが、国や関連する県や都、地方自治体の首長・議会が議決し、各自治体もそれぞれ応分の負担金(約2000億円)を出しながら7割がた完成している公共事業を、国の政権が変わったからと言って一方的に中止するというわけだから、「エグイ!」としか言いようがない。

ここまで来た事業を中止することこそ、最大の「税金の無駄遣い」だと俺なんか思うんだけど、鳩山内閣はここまで国民に宣言してしまった以上、後には引けないんだろうな。3300億円は無駄になるが、今後「無駄な公共事業は、鳩山内閣は絶対進めない」という決意を国民に示すための「高い授業料」というわけだろう。

こんな勝手な「位置づけ」で、民主党の言い分を認めていいのだろうか。このままいけば、これからますます「公共事業予算」は、削減されていくだろう。日本国土の治山・治水対策はどうなっていくのか。専門家の客観的データーに基づいた問題提起と議論こそ、今必要であるんにもかかわらず、そのことに関してはメディアもほとんど報道しない。

紅葉 単年度の事業と違って、10年、20年かけて議論され計画され各議会の手続きを踏んで関連住民との利害調整を終えて工事が進められ8割がた完成している事業を、たった一回の総選挙による結果で、時の政権によって一方的に中止にするという手法が、本当に認められるのかと言う問題だと言わざるをえないね。

山猿 まったくや。今回の総選挙で「八ッ場ダム工事」そのものの是非をめぐって争われた選挙ではなかったんだから、総選挙で「八ッ場ダム工事」の中止が国民に支持されたと主張すること自体に無理があるんだよ。ここを民主党はカン違いしている。

郵政事業の民営化の是非をめぐってきちんとした議論も情報も提供されない中で、「郵政選挙」と一方的に位置づけ、ムード選挙で大勝した小泉内閣が「郵政民営化は国民の総意だ」とした手法とそっくりや。極めて危険な政治手法だといわざるを得ない。この危険性にもっと目を向けるべきや。必ず、近い将来取り返しのつかない事態を産み出すに決っている。

紅葉 ところで、鳩山内閣は、マニュフェスト実現に向けた財源を、予算の組み換えとムダの廃止で捻出できるのだろうか。山猿はどう思う。

山猿 そりゃ、捻出できるよ。内閣がやろうと思えば何だってできる。官僚もなんやかや批判されてるが、時の内閣から「絶対にやれ!」って命令されたからには、なんとして実現させる政策をつくりあげる、それが官僚の官僚たる由縁なんだから。

来年度予算のマニュフェスト分7,1兆円の捻出など財務官僚にとって造作もないことやろな。麻生内閣が今年度の補正予算の規模が16兆円だったことを考えてみても分かるやろ。いざとなれは簡単な財政措置を、いかに大変なのかと国民に思わせるのが財務省の「技」としか表現しようがない。

ここで問題になるのが、財務大臣に就任した藤井裕久氏や。藤井財務相は大蔵官僚出身で、強固な「財政再建」論者であり「消費税引き上げ」論者でもある。

4年間消費税を凍結すると言う公約を掲げながら、鳩山総理はなぜ引退を表明していた「消費税引き上げ論者」の藤井氏を説得してまで比例区から出馬させ、今回の内閣で財務大臣に就任させたのか、ほんまに疑問だった。とりわけ、小沢幹事長も藤井氏の財務大臣就任には否定的だったということが報道されていたこともあり、なおさらの疑問だったな。

その疑問が先日の鳩山内閣閣僚の藤井財務大臣の初記者会見のときの「ある言葉」を聞いて氷解した。「なるほどなあ。そういうことだったのか。こりゃ、日本経済も大変なことになるぞ。鳩山政権の本質はこれだったのか。」と、感心すると共に、「これはこれから一筋縄ではいかないぞ。新たな困難が日本経済に襲いかかろうとしている」ってことで、背筋に走るものがあった。

紅葉 その「背筋に走るもの」っていったいなんなんだ、山猿。

山猿 うん、そこを俺は思いっきり語りたいんだよ。この連休の間を利用してまとめられたらと思っている。
  

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2009年09月19日

再開 あほな会話 No2

紅葉 前回の話の続きをやりたい。鳩山内閣の組閣もおわり、いよいよ連立政権がスタートしたわけだけど、メンバーを見ると本格的な内閣になっているように感じて、期待が持てる気がしているんだけど、山猿はどう思う。

山猿 そうやな。最近の自民党内閣に感じた軽さや浮つきのない、どっしりした「重み」を感じる人たちがそろった内閣と言うのが、まずもっての印象やな。スタートとしては好感が持てる。
 問題は山積みやけどな。だけど、何と言っても選挙で国民が選択したわけやから、鳩山内閣の基盤は、これまでの安部、福田、麻生内閣と違って、自らの政策を思い切って推し進めていける「力」を与えられた内閣とは言えるやろな。

紅葉 第一印象は一致したね。そこで今、「問題は山積みやけどな」って山猿は言ったわけだけれど、それはどういうことなんだい。

山猿 いろいろあるが、まずもって思うことは、なんと言っても鳩山内閣の経済政策、財政政策や。「子ども手当て」や「農家の個別所得保障」、「ガソリン税などの暫定税率廃止」や「高速道路の無料化」など、総額16,8兆円の政策を打ち出している。そしてその財源として公共事業や特殊法人などのムダを節約して9,1兆円、埋蔵金から5兆円、配偶者控除の廃止など増税2,7兆円でまかなうというわけや。

「子ども手当てや農家の個別所得保障、ガソリン税などの暫定税率廃止や高速道路の無料化」などは、大賛成で評価できる。何やかやマスコミはいちゃもんつけているけど、国民の家計を潤し「総需要拡大」につながる可能性があるんだから大いにやるべきや。

だけど、それに必要な財源を国の今ある総予算207兆円(特別会計を含む)を組み替えて、公共事業の削減や無駄遣いを止めさせることで「産みだし」、「そのお金」で賄うと言ってるんだから、話にならんわけだ。これでは、総予算207兆円は変わらんわけやから、景気対策には絶対つながらないんや。

前にもいったけど、名目GDP=民間消費支出+民間設備投資+公的総支出+純輸出、なんだから、予算の組換えだけでは「公的総支出」は増えないわけやから、名目GDPは変わらず、総所得の再配分だけに終わるだけや。

おまけに「子ども手当て」には所得制限がないということだから、高所得者世帯にも全て満額「子ども手当て」が支給されることになり、その一方で所得に関係なく「増税」になる世帯が生まれることになってしまう。

このままでは国民の間の所得間格差がさらに拡大することになってしまうわけや。このマニュフェストによって名目GDPが増大するなら問題はないんやけれど、国民総所得は増えず、所得間格差を拡大させるだけに終わる可能性が極めて強いと言わざるをえないわけや。

もっと心配なのは、16,9兆円の財源はあくまでも再来年以降で、来年度予算編成で7,1兆円を捻出するために、今年度の補正予算16兆円を一部執行停止すると決めてしまった。そして、その7,1兆円を捻出する作業に、これから鳩山内閣は総力を結集させていくことになる。

肝心のこの秋から来年3月までの景気対策をどうするつもりなのか。このままでは、この年末から来年3月末までに景気はさらに悪化するだろう。ましてや来年度予算も総額は変わらないわけやから、このままでは来年度も景気は悪化するのは確実や。小泉内閣と同じ道を歩む可能性が極めて強いと言わざるをえないんだな。華々しく語られているだけで、その中味はきわめて問題をはらんでいるマニュフェストや、これは。

紅葉 深刻な指摘やな。もっと突っ込んで話したいんだけど、この続きは明日にしよう。


  

Posted by minoh at 21:56Comments(0)TrackBack(0)金融危機

2009年09月13日

再開 あほな会話

紅葉 久しぶりに、またあほな会話はじめるとしますか。今回の衆議院選挙、民主党の圧勝だったけど、山猿はこの結果について、どう思う?

山猿 民主党が過半数はいくと思っていたが、まさか、300議席を超えるとは思わなかったな。びっくりや。何回か重ねたことで、ようやくここに来て小選挙区制の「威力」が働くようになり、世に言われている「2大政党制の時代」になったということかも知れない。

それにしても自民党の負けっぷりといい、負けた後の「総裁選」をめぐるやり取りといい、いまのところ「再起不能」状態やな。
     
紅葉 山猿は、自民党の大敗北の原因をどう見る?

山猿 総理がコロコロ変わり、首相の発言がブレまくり、年金や無駄な公共事業、官僚の天下り、ばらまき政策が原因だということが大方の意見やろ。

今回の総選挙で勝ち抜いてきた自民党議員すらが、「あれもします、これもしますと、国民におもねり、まるで民主党とスーパーの安売り合戦をおこなったことが問題だ」とか、「年金改革や社会保障の財源として消費税の引き上げをきちんと国民に訴え、日本の将来のために国民に応分の負担を求める辛口の政策で闘うべきだった」とか、「派閥主導の自民党の体質が国民の反発を買った」「この日本を今後どういう方向に進めていくのかといった明確なビジョンがなかった」とか他人事のようにを、選挙が終わってから、とうとうと語っている。

こんなマスコミの大方の意見や、自民党議員の主張が、敗北の原因だとして自民党内でまかり通るとしたら、自民党の再生などとうていできないだろう。全てが思いつき、現象の表面をなぞっているだけや。

紅葉 確かに、こんな分析では表面的だね。山猿はどう分析する?

山猿 自民党の今回の大敗北の原因は、はっきりしている。2001年からの小泉.竹中政権の「構造改革」路線の結果や。もっと言えば、80年代のバブル経済と90年代のデフレ経済を意図的に引き起こした日銀の「信用創造」政策と、それを悪用して「構造改革」を強行した小泉政権の6年間が、今回の自民党敗北の真因や。ここを総括して出直さない限り、自民党の再生はないやろな。

別に自民党自体がどうなろうと、直接的には自民党に関係する人以外にとってあまり関係ないわけや。だけど、これから民主党中心の連立政権ができて、自民党が野党になるわけやから、自民党がどんな野党になって民主党政権に立ち向かうかということになると、国民生活に直結するわけやから、「どうなろうと関係ない」って言うことだけではすまないんやな、これが。
 
この小泉構造改革が、この10年余り公共事業を50%も削減しつづけて、地方の土木・建設業者を直撃し、地震や豪雨で大災害を毎年引き起こす。医療予算を削減すると共に国民負担を増大させ、高齢者や医科.歯科医師に犠牲を転化する。地域経済の停滞に輪をかけて中高年者の農業経営を直撃する。

その有権者の静かなる怒り、不満がタイムラグを伴いながら2年前の参議院選挙と今回の総選挙に現われたと見るべきや。そこを適確に突いて政策化し、支持を獲得した小沢一郎の選挙戦略は、「天才的」やな。

「自民党をぶっ壊す」という小泉総理の構造改革の真の意味は、これまでの自民党を支持してきた国民の商売や生活を「ぶっ壊す」ことだったことに、自民党の政治家は、今回の総選挙で思い知らないといけない。今後、小泉構造改革に対する根本的総括と、構造改革からの大胆な路線転換をなしえるかどうかに「自民党の再生」がかかっているんだけど、当選してきた議員の意見なり、自民党都道府県幹事長会議での論議を見ても、ここを指摘する理論と力量を持った議員がほとんどいない。

そういう骨のある議員を、郵政選挙で小泉首相が自民党から追放してしまったから、その報いが今効いてきている。自民党の再生は並大抵ではできんと思うな。

紅葉 小泉構造改革路線からの脱却を試みたのが、麻生政権だったわけでしょう。その麻生政権で自民党が結党以来の大敗北になったなんて、なんともはや、皮肉なことやな。

山猿 自民党再生の絶好のチャンスだったのが、昨年秋のリーマンショックから今に至る国際金融危機だったのに、麻生首相も小泉構造改革からの根本的な路線転換がなしえなかった。
10数年続いていた日本のデフレ不況の中で起こった米国発の国際金融危機、ここでこそ小泉構造改革路線の間違いをはっきりさせ、景気回復に向けた大胆な財政.金融政策を打ち出すべきだったった。

「小泉構造改革路線の間違い」を国民に明確に表明しないかぎり、思い切った景気対策は打てない。
それなりの景気対策を打ってきたけど、麻生首相は「小泉構造改革路線の間違い」を国民に明確にできなかったから、国民の心に響かなかった。国民の心に響かなかったからこそ、自民党内の「財政再建派」や「構造改革派」との妥協を強いられ、中途半端な景気対策になったともいえるわけや。

麻生総理の自業自得とも言える。そういう意味では小泉総理とちがって、ここぞという時の「勝負師」になりきれなかった。2人の個性の違いといえばそれまでやが、二人を支えたバックが違いすぎるから、無理もない。

小泉首相には、「小泉構造改革」を支えるバックボーンが明確にあった。それこそ「日本経済をぶっ壊す」ことを目的とした日銀やFRBと一体となった国際金融資本。その国際金融資本の思いどおりに動かざるを得ない宿命にある米国政権の支援がなければ、小泉首相も「勝負」できなかったわけやから。

まず、この世に言うところの「グローバリズム」「構造改革」という名で進めてきた政治.経済政策のもつ国際的な位置づけと、それがもたらした日本経済.国民生活への「帰結」について、今回の総選挙をきっかけに、自民党も民主党も、そして国民も、ここらでじっくり考えんとあかんわけや。

今回の民主党のマニュフェストも、その根底には「構造改革」路線が流れているわけや。そこを誰も指摘しない。と言うか、国際金融危機や世界的な大不況の中にあっても、「やっぱり構造改革は正しい」と、何となく思い込んでいる人が依然として多数派やから、根本的批判が自民党からも民主党からも内発的には出てこない。

子ども手当てを始めとしたマニュフェスト実現のために、公共事業のより一層の削減や、ムダの解消と増税で財源を確保するというわけだから、このまま民主党の政策を進めるとGDPが増えるどころか、確実に減少するのは明らかだ。

この秋から来年の年度末に向けて、このままでは、麻生内閣の補正予算で一息ついていた日本経済は、また昨年の秋からたどった道を歩む可能性が強まってるな。全ては小沢一郎幹事長の判断にかかっているというのが、いまの日本政治の現状やな。

それにしても、民主党に小沢一郎という政治家がいて、よかったよ。もし彼が失脚していたら、民主党政権の行方は目も当てられない。

紅葉 久しぶりの会話だったから、疲れたね。われわれの会話も中途半端に終わるけど、この続きは次回ということで。

山猿 全ては経済政策や、これに尽きる。ここから全ては始まる。それにしても三橋貴明氏の今年に入っての著作活動は目覚しいな。最近の著作『高校生でもわかる日本経済のすごさ!』(彩都社 1429円)、『ジパング再来 大恐慌に一人勝ちする日本』(講談社 1600円)、まさに嘘だらけの経済論議に鉄槌を加えている。

それと「日銀 円の王権」(吉田祐二著 学習研究社 1600円)がいい。日銀、FRB、国際金融資本の今日に至るまでの「共謀」をビビットにわかりやすく書いてあり、実におもしろい。


  

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2009年05月17日

経済財政論議を変革する2人

「国家財政が危機だ」と国民を脅迫している日本の政治家、官僚、エセ経済学者、マスコミ。
この経済財政論議を根本的に変える2人の若手論客が今経済論壇に衝撃を与えている。三橋貴明氏と廣宮孝信氏だ。
この2人の今日のブログは共に圧巻だ。

この2人の論客は、確実にこれからの経済財政論議に革命を引き起こすであろう。我われはこの2人の著作を熟読に熟読を重ね、世間を欺く偽論議を一掃し、真に国民のための経済財政政策を政府がおこなうよう要求していかねばならない。

市の提案や議会での財政論議も、この2人の論を踏まえた論議を徹底的におこなうべきだ。倉田箕面市長の見解をぜひうかがいたい。


●三橋貴明氏のブログ
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm

◇A 日本の国の借金は、国民一人当たり663万円にも達している。これは税金で返すか、子孫に負担を押し付けるしかないんだ!

◆B 日本政府の借金の債権者は誰ですか? 日本国民ですよ。なぜ日本国民が、自分たちが貸しつけたお金について『一人当たり何百万円の借金』などと言われなければならないのですか。

そもそも、世界には税金で政府の債務を返済している国は、一つもありませんよ。それ以前に、長期的に政府の借金が増えていない国も、実は一つもありません。

例えば1980年と比較すると、日本政府の借金は八倍に増えています。
でもこれって、アメリカやイギリス、それにドイツなどと全く同じペースです。ついでに言うと、イタリアやフランスの政府の借金は、1980年の14倍にも達していますよ。だからといって、仏伊両国の政府が破綻しましたか?

◇A ・・・しかし、国債は利払いが必要だ。

◆B 利払い分も借りて払えばいいだけじゃないですか。日本の国債金利は世界最低ですが、これは『市場』が日本政府に、『どんどん国債を発行してくれ』と頼んでいるサインなんですよ。

日本国債を金融市場が切望している状況なのですから、返済期間が来た国債も、政府は繰り延べ(ロールオーバー)しちゃえばいいんです。

◇A それは、結局、借金返済の負担を子孫に押し付けているだけだ。

◆B 子孫も繰り延べしちゃえばいいじゃないですか。何で特定の子孫に借金返済を押し付けようとするんですか。地球滅亡の日まで繰り延べしてしまえばいいんです。

◇A しかし、国債を発行すると、いずれは金利が上がっていくはずだ。それに長期金利が上昇すると、円高が・・・

◆B 日銀に国債を買い取らせれば済む話じゃないですか。アメリカもイギリスも、すでにやっていますよ

◇A そうなるとインフレーションが・・・

◆B 世界最悪水準のデフレに悩んでいる日本が、インフレの心配してどうするんですか。
むしろ、軽めのインフレになったら、公的債務対名目GDP比率が下がって、万々歳じゃないですか。それに、インフレになるほど

景気が回復すれば、税収が増え、政府支出も不要になっていくので、政府の借金は勝手に減っていきます。日本が適正なインフレになったときこそ、全てはハッピーエンドなのですよ。

◇A しかし、ロシアやアルゼンチン政府はデフォルトした! 日本政府もきっとそうなり、IMF行きだ!

◆B ロシアやアルゼンチンは、外国から外貨建てで政府が借金していたのです。こうなると、為替レートにより返済額や利払いが跳ね上がるので、破綻して当たり前でしょう。それに対し、日本政府の対外債務は「ゼロ円」ですよ。
 
そもそも、国際間の決済を管轄するIMFが、国内債務の問題で乗り出してくるわけないでしょう。大体、先日IMFに対して1000億ドルの融資枠を提供してあげたばかりの金持ち国は、どこですか?

◇A ・・・・・・。

●廣宮孝信氏のブログ 
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp

◇A 国が借金をこれ以上増やすと破綻する!

◆B これ以上って、いくらですか?

◇A 国の借金が1000兆円以上になると破綻する!

◆B イタリアでは、1980年から95年までに、1980年のGDPの5.1倍も国の借金が増えました。つまり、今の日本で言えば15年間で2500兆円以上も国の借金が増えたのに、今でもイタリア人はジョーク好きで女好きのおちゃめな首相の下で、陽気に暮らしていますね。

もっと凄いのは、第二次大戦のアメリカです。1940年から45年までのわずか5年の間に、1940年のGDPの2.1倍も国の借金が増えました。つまり、今の日本で言えばたった5年間で1000兆円以上も借金が増えたのに、アメリカは破綻どころか、世界の覇権を手に入れて、いまだに大艦隊を世界中に派遣しています。

ということで、1000兆円だろうが、1京円だろうが、関係ありませんよ。ところで、破綻という言葉の定義はなんですか?

◇A でも、政府負債のGDP比が先進国中最悪だから、ダメなんだ!いつも株の番組で早稲田の教授がそう言ってるじゃないか。

◆B 破綻とは、借金が返せなくなって金詰りになった状態のことですが、最近ではアイスランドが『国家破綻』しましたね。アイスランドが破綻する前の政府債務のGDP比はご存知ですか?

◇A そりゃあ、具体的な数字は知らないけれど、日本よりも悪かったんだろう

◆B 破綻前、07年末のアイスランドの政府負債GDP比は、たったの53.8%。日本は今190%くらいですが、破綻する兆しは全然ありません。もし破綻しかけているのなら、国債の金利はもっと大きくならないといけないですが、日本国債の金利は世界最低です。

しかも、07年末のアイスランドは政府の金融資産がGDP比54.6%で、負債以上の金融資産を持っていたんです。 つまり、アイスランド政府は実質借金ゼロでした。それが破綻したのですよ。国の借金が多い少ないは国家破綻とは全く関係ありません。

◇A アイスランドみたいな小国と日本とは違う!

◆B 小国とか大国とか、関係ありません。ロシアは超大国でしたが98年に破綻しました。破綻するかどうかは、小国か大国かじゃなくて、国全体として外国からの外貨建ての借金が多いかどうかです。アイスランドもロシアも、外貨建ての借金が返せなくなったから破綻したのです。

日本は、国全体として対外資産の方が、対外負債よりもずっと多い、つまり対外純資産がプラスで、しかも対外純資産の規模は世界最大です。これで、どうやって、アイスランドやロシアのように破綻できるのですか?

◇A でも、これ以上国債が増えると金利負担が大きくなって…

◆B 金利の受け取り手は国民です。国債の95%は日本国内で保有されています。また、仮に金利が外国にわたったとしても、日本国債は全部円建てですので、そのおカネは結局日本に帰ってきます。

彼らは日本円で持っていても仕方がないので、円を自国通貨に交換するはずですし、もし円のまま預金しているとしたら、その預かっている銀行も運用先に困るので、結局は巡り巡って日本国債を買うしかないでしょう。

円建て国債なら、金利が外国に渡っても、弊害は円安になることくらいです。いま円高過ぎるくらいですから、ちょうど良いではないですか?それに、金利がどうしても気になるなら、日本銀行が国債を買いオペすることでいくらでも調整できます。

◇A でも、日銀が国債を買うとなるとハイパーインフレに…

◆B ハイパーインフレの定義はご存知ですか?月率50%、年率13000%のインフレのことです。日本の1830年以降のインフレ率は最高で、大戦直後1946年の365%です。

しかも、あの第二次世界大戦でボロボロになった、極端な物不足・供給力不足の1946年で、たったこれだけなのです。今の超モノあまり、超デフレの時になぜ、大戦直後を大幅に上回るようなインフレを心配しないといけないのですか?

では、伺いますが、日本がこれからものすごい勢いで国の借金を増やしたとしても、1980年以降15年間のイタリアや、1940年以降5年間のアメリカを下回るペースでしか国の借金を増やせないでしょう。

その80年以降15年間のイタリアですらオイルショックの余韻の20%台から5%くらいにまで下がって行き、大戦中のアメリカですら最高で11%にしかなりませんでした。

日本でこれ以上国の借金が増えたらハイパーインフレになるという根拠が、一体どこを探したら出てくるのか、どれくらいの期間で、どれくらいの金額で、何%のインフレになるのか、客観的数値データに基づいて、論理的に、明快にご説明ください。
何の根拠もなく、ただなんとなくハイパーインフレになるとおっしゃるのであれば、それはあなた、単なる風説の流布ですよ。

◇A いや、そんな数字は関係ない。破綻するんです…

◆B 『数字は関係ない』、『数字に意味がない』とおっしゃるなら、あなたの預金通帳に印刷されている数字も意味がない、価値がないですよね。あなたが持っていても何の役にも立たないでしょうから、是非私にください。私が有効活用して差し上げます。もちろん、贈与税もちゃんと法律の規定に従って納付し、それによってきっちり国家に貢献いたします。

・・・いかがですか? 刺激的でしょう。
これらの論の裏付けとなる書物が、今年に入って4冊出版されている。「バカの壁」に騙されないためにも熟読されんことを。

『国債を刷れ 「国の借金は税金で返せ」のウソ』 廣宮孝信著 彩図社 
『本当はヤバくない日本経済 破綻をを望む面妖な人々』 三橋貴明著 幻冬社
『崩壊する世界 繁栄する日本』 三橋貴明著 扶桑社
『政府貨幣特権を発動せよ』 丹羽春喜著 紫翠会出版
  

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2009年04月27日

疑問の尽きない会話

◆紅葉
疑問がいろい届いているね。

①「結論は、政府紙幣を発行して総需要拡大で、解決可能ということ、なのでしょうか。
それは、今はよくても、将来的にどうなのでしょうか。お金の価値が下がっていかないのでしょうか。」

②「私達はもう、物による発展、大量生産、大量消費、環境破壊、(その後に来る心神喪失)、という発想のサイクルを転換しなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。」

③「需要拡大する努力をしなかった、と以前に書きましたが、もう、需要拡大は来ない、できないのかもしれない、と思っています。
これから人類は右肩上がりはなくて、低成長を受け入れて時を進むしかないのでは。もし仮に、また好経済期が来たとしても、結局はまた同じことの繰り返しとなるのでは、と思います。」

これは、大方の人の疑問だとと思うんだが、山猿はどう思う。

◆山猿
俺はみんなの疑問を読んで、まず感じるのは、世界におけるいまの日本人の生活水準の位置なんやな。
戦後60数年、気がついてみたらいつのまにか世界のトップ水準の生活になっているわけや。
欧米の先進国と言われ続けてきた国々と比較しても、わが国は貧富の差が少なく分厚い中間層が形成されてきた。1億2千万人もの人口を抱えた国で、これだけの経済と国民生活の質的発展をなしえている国は世界にないといえるやろ。

俺らの幼少時代の生活といまの生活を比較してみても、雲泥の差がある。
海外旅行が実現するなんて、ましてや海外勤務なんて想像できなかった時代や。
しかし、今はいずれも当たり前の時代になっている。世代間の意識の差は俺らの想像をはるかに越えているやろな。ましてや俺らの親の世代から考えたら、そのギャップは図り知れない。

そういう意味では
「これから人類は右肩上がりはなくて、低成長を受け入れて時を進むしかないのでは。もし仮に、また好経済期が来たとしても、結局はまた同じことの繰り返しとなるのでは、と思います。」

という思いは、思いとして俺は理解できる。でも、それは日本の国の俺らの世代の思いであって俺らの子ども孫世代とはまるで違った感覚だろうと思わざるを得ないわけや。

俺らが親の世代とまるで違った生き方を選択したごとく、俺らの子ども、孫世代は俺らの思いと全く異なる意識感覚で生きていっているわけやし、今の日本国民の生活水準とはるかかけ離れた生活を送っている圧倒的多数の世界の人々が、「これから人類は右肩上がりはなくて、低成長を受け入れて時を進むしかないのでは」という論理を受け入れるかといえば、それは全く受け入れられない論理だということは明らかだろう。

ちょっと露骨な言い方をすれば、無意識のうちに「持てる者、豊かな国」の論理、富者の「「エゴ」になりかねない。そして、今深刻になりかけているのは、この日本に形成されてきた厚い中間層が崩れ始めているということや。ここ10数年の低成長が新たな「貧富の差」を生み出している。

分厚い中間層の形成は、経済が着実に発展してきたお陰であるとともに、それが貧富の差を拡大させる方向に作動しなかったのは、あの敗戦というゼロからの再出発と日本人の知恵と経験が大きかったんではないだろうか。

◆紅葉
「持てる者、豊かな国」の論理、富者の「「エゴ」か。
たしかに、日本近辺を見渡せば、中国13億国民、韓国、北朝鮮、ロシア、東南アジア諸国の政府、国民に、「これから人類は右肩上がりはなくて、低成長を受け入れて時を進むしかないのでは」といっても、受け入れられないだろうな。

でも、「物による発展、大量生産、大量消費、環境破壊、(その後に来る心神喪失)、という発想のサイクルを転換しなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。」ということは、これからの人類の共通課題であることは、まちがいないんじゃないのか?
中国の公害や環境破壊、海水汚染や黄砂、食品公害のひどさが日本に及ぼしていることを見るにつけても、このままでいいとはとうていおもえない。

◆山猿
それはその通りや。このままいけば、中国の経済発展が生み出す公害は、中国国民に豊かさを生み出す一方で、生活破壊も引き起こしており、それが日本海海岸に大量のごみと巨大くらげの発生、黄砂、大気汚染、有害食品として押し寄せているからな。これは70年代の日本の公害問題の比じゃない。

でも、今中国に「経済成長政策をやめろ」なんて、日本が言える道理もないだろう。
じゃどうするかって問題なんだよ。また、地球そのものが有資源で決して無限資源じゃないわけだから、全世界がこれまで先進国が生産・消費してきた経済成長パターンを踏襲したら、「これから地球はいったいどうなって行くのか」という不安も消えないな。

こういう日本国民の潜在意識の中の不安といまの日本国民が達成している生活の豊かさが重なり合って、「物による発展、大量生産、大量消費、環境破壊、(その後に来る心神喪失)、という発想のサイクルを転換しなければ」という気持ちが、俺らの中に生まれてきているのだと思う。

そこでや。まさに「サイクルを転換」が文字どうり人類的にも日本的にも求められているのは間違いない。
アイデアは山ほど、これまでいろんなところから出ている。循環型エコ社会、省エネルギー社会、地産地消の農業育成、持続可能な安心福祉社会などなど。

それをどうやって実現するのかという問題なわけや。これは、日本がこのまま低成長のなかで実現できるのかということや。「サイクルを転換」させるための財源をどうするのかという問題でもある。全てはここに尽きるわけや。

経済成長=大量生産、大量消費が、一部限定の過剰浪費と過少消費の貧困と環境破壊を引き起こしていることが問題であって、経済成長そのものを否定してしまっては「サイクルを転換」も決して実現させることはできないわけや。

◆紅葉
経済成長そのものに問題があるのではなく、そのシステムに問題があるということか?

◆山猿
まあそういうことやけど、紅葉のまとめ方はあまりにきれいすぎるな。
かって日本も公害問題が発生した。ちょうど我われの学生時代や。工業地帯での光化学スモッグや河川汚染、喘息、薬害、水俣病やイタイイタイ病、資源エネルギーの浪費など、大きな社会問題となり、抗議運動がつぎつぎと起こり、企業や政府がその国民の怒りの矢面に立った。

続発した公害問題が、どのようにしてして解決して言ったのかということを思い起こしてみよう。あの時朝日新聞などは「くたばれ、GNP!」というキャンペーンをはり、あたかも経済成長そのものが悪であるかのように批判したわけや。

もし、あの時経済成長を止めて低成長に転換していたら、公害問題は解決できたかということや。
とうていできなかっただろうし、今の生活水準は達成できなかっただろうし、広範な中間層も形成されず、貧富の差は拡大していたのは明らかだ。

科学技術の発展が生み出す問題(公害・環境破壊)は、科学技術の更なる発展の中でしか克服できないと言うのが、真理なんだ。そして、科学技術の発展は、経済成長の中からしか生まれないということも真理なわけだ。
日本経済、企業は、その中で問題を解決してきた。環境破壊を極力発生させない工業技術、GDP比で世界一の資源エネルギー消費率の少ない商工業を実現させているのも、日本のこれまでの経済成長があったからだ。

低成長といまの更なる不況は、失業者を増大させ、企業で働く従業員のやる気を喪失させるとともに連帯感を喪失させ、自己保身(エゴ)を助長させる。経営者は、生き残りをかけたサバイバルゲームを強いられ、偽装商品の生産にまで手をつけざるを得ない企業が必ず出てくる。まさにモラルハザードや。

経済の悪化とともに政府も自治体もやるべき課題は山積し、しかし財政危機で手がつけられないと居直るか、増税を迫ってくる。それにつれて、全てが自己努力、自己責任という社会風潮が幅を利かせ、その中で社会的に弱い層から脱落していく弱肉強食の社会が生まれてくる。デフレ不況の一番の恐怖はこれや。

◆紅葉
しかしや、

「結論は、政府紙幣を発行して総需要拡大で、解決可能ということ、なのでしょうか。それは、今はよくても、将来的にどうなのでしょうか。お金の価値が下がっていかないのでしょうか。」

って、疑問を感じている。これについてはどう答える?


◆山猿
ここなんだな、みんなの心配は。紙幣を増やしすぎるとインフレになる。それも超インフレになったらどうするんやということやな。

問題は、その「将来」とは、いつのことかということや。デフレ不況が問題になっているときに、インフレを心配して総需要を拡大させる政府による財政出動政策をためらっているというのは、本末転倒なんだ。

ある程度のインフレは、経済成長にとって必要なんだよ。もっと言えば、デフレ経済よりインフレ経済のほうが、ましなんだよ。超インフレは困るけどね。

前に、デフレギャップの話をしたけど、その計算方法については専門的になるので、いまここで展開できないが、近いうちきっちり説明したい。

そのインフレが問題になる時期がきたら、世の中から余ったお金を日銀なり政府が吸い上げればいいわけだ。
日銀が手持ちの国債を市場で売却し余分なお金を買い取るなり、それこそ政府が消費税を引き上げるなりの増税をおこなうことで、インフレは抑えることができるわけや。インフレを拡大させないための方策はいろいろある。

いまは深刻化するデフレ不況と国際的金融恐慌にいかに立ち向かうか、ここが問題なわけや。
そして日本は、今総需要を拡大することによって経済成長ができる力を持っているわけやから、その経済成長を実現することによって、最低限周辺諸国の経済問題をも解決していく牽引車に、日本がなるべきなんや。日本の科学技術力と経済成長が生み出してくれる資金を活用すれば、できるわけだ。

つまり、経済成長を、一部限定の過剰浪費と過少消費の貧困、環境破壊を引き起こさない「サイクル転換」可能な経済協力ができる、それだけの潜在力を日本は充分持っている。

そんな明確なビジョンを掲げながら、政府紙幣を活用した「経済財政政策」を大胆に打ち出す時期がいまなんだ。

今回の麻生内閣の15兆円の補正予算案と中長期経済計画案は、その意味では完全に小泉構造改革路線から決別したという意味では、大いに評価できる。後はこの路線が、政府紙幣なり、もしくは政府発行の多額の赤字国債を直接日銀に買い取らせる手法による第2次、3次補正予算を打ち出せるか。また、引き続き来年度予算でもさらに大規模な財政出動ができるか否かにかかっているわけや。

そのまえに総選挙で国民がどういう選択をするかにかかっているわけやけれども、それまでに経済政策、景気対策をめぐって様々な議論、論争が展開され、有権者に選択を迫らなないとダメなんやな。

『崩壊する世界 繁栄する日本』 三橋貴明著 (扶桑社 1400円 09年3月)が実にいい。『国債を刷れー国の借金は税金で返せのウソ』(彩図社 09年3月〉の著者、廣宮孝信氏といい、三橋氏といい、これまでの経済本には全く見られないデーターを活用しての目の覚めるようなわかりやすい論理展開で、これまでの経済俗説を見事に切りすて、具体的提言をおこなっている。
  

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2009年04月06日

あほな会話 その6

●山猿
政治家は無論のこと経済学者やマスコミに、国民が当然抱いている疑問ときちんと対峙して、国民が心底納得いく経済政策なり景気対策を打ち出し、国民とともに解決していこうとする姿勢が感じられない。

「われわれは騙されている」と、俺は言いたい。
別に、だまされていてもいいわけだ。それで日本がよくなり、国民が幸せになるなら。自助や互助だけでは解決できない国民生活の悩みや不安が、政治の力で一歩一歩改善されていくのが実感できるのなら・・・・。
しかし、肝心の政治家が経済に対して間違った認識をしてきたんだから、間違った対策になるのは当然や。それをいつまで続けるのかということや。

この未曽有の経済危機に対して、今なし崩し的に小泉構造改革路線からの方向転換がなされつつあるわけやけれども、「構造改革路線がなぜ間違っていたか」についての正確な分析に基づいた方向転換ではないから、対策が中途半端にならざるをえない。

しかし、それを麻生首相に求めるのは、今の政治情況を考えると、ほんまは酷なことだと俺は思わざるを得ないんだな。麻生首相が取ろうとしている、そしてこの間とってきているデフレ対策、財政政策の方向性は決して間違ってはいない。正しい方向なんだよ。しかし思い切った対策にはなりきれていない。不十分なんだな。

財政出動が今なぜ必要なのか、どれぐらいの規模なら克服できるときちんと、麻生首相は説明できていない。
なぜできないか。きちんと言ったら自民党の小泉構造改革論者と対決せざるを得なくなり、それに乗じて自民党内部でむだな「政争」に発展することを危惧しているわけだ。ただでさえ、民主党との「政争」で、経済対策が遅れている。自民党内部の「政争」になれば、経済対策はもっと遅れて、大変なことになる。

だから、経済危機が深まるのに応じて、小出し小出しで対策を打ち出しているように、俺には見える。

麻生さんは、もともと小泉構造改革反対論者で、郵政民営化反対だったわけで、デフレ不況を脱却させるには、政府の財政出動が不可欠だということはわかっていた有力な政治家の一人だった。小泉内閣時代の自民党総務会長時代、講演でよく主張していた。

そういう意味では、いろいろ麻生さんについてマスコミは叩き、国民もバカにしているが、この世界的金融危機の真っ只中にあっての総理としては、麻生さんは自民党の他の政治家と比べて、よりましな総理といえるんだよ。じっさいの話が。

麻生首相が、どこまで今回の金融危機を正しく認識して、どんな時限までの不況対策を打つべきだと認識しているのかは、わからない。

しかしながら、「赤字国債」の発行を決意したということは、ほんまに画期的や。ちょっと明りが見えてきた。麻生さんは本気のような気もする。

ほんまは、経済学者やマスコミの間で、国民にわかる形で取るべき経済対策について、徹底した議論なり論争、そして何が今問題なのかをめぐっての忌憚のない解説が行われていなければあかんわけや。

だけど、ほとんどないんだな。皮相なスキャンダラスな「政争」報道ばっかりで、そんな報道を聞いても国民はちっとも賢くなれない。

●紅葉
これから本論に入るわけやけれども、この間の僕らの問題意識をまとめると

①不況や好況、バブルの発生と崩壊はこれまでも繰り返されてきたし、その原理はいつの時代も似通っていて、単純な仕組みだ。

②ただし、その手法がだんだん複雑になってきており、なかなか理解しにくくなってきている。

③だから、生活に直結する身近な問題でありながら、「経済は難しい」と、はなから思い込んでしまうし、いろんな経済記事を読んでも実際なかなか理解しできない。

なぜ、いま急に世界的な金融危機が起こったのか。その原因なり結果、そしてどうしたらいいのか、僕らにはなかなかわからない。

④政府はいろいろ対策を打っているが、その対策が有効なのかどうか判断できず、不安を持ちながらも「何とかなるやろ」と思いつつ生活している状況や。

なぜ、経済は難しく感じるのだろうか?そして日本はどうしたらいいのか。今日は結論について、お前の考えを聞きたい。

●山猿
わかった。
経済が難しいのはマクロとミクロがあってその二つは原理が全く違うというところに起因していると俺は思ってる。

景気対策や金融政策はマクロ経済の問題であり、家計や企業などはミクロ経済の問題であり、ミクロ経済の世界では正しい論理が、マクロ経済の世界では通用しないということや。

このことを認識している政治家が、俺が知る限り国にも地方自治体にも、ほとんどいないんだ。マクロの問題をミクロの論理で語り、政策化しようとしている。
国の官僚の中には、わかっている人もいるはずなんやが、そういう官僚は表の政策分野に登用されない「ある力」が働いている。

経済学者などは、その著作を読む限り経済理論としては理解しているはずなんだが、具体的政策の段階になると、たちまちミクロの論理でマクロ経済を語る「エセ」学者に変身してしまう。時代の風潮に流されるというか、迎合してしまうわけや。

政府の経済財政諮問会議の委員として、具体的政策立案に関わってる経済学者などは、その典型なんだな。

●紅葉
そのミクロとマクロの経済って、いったいどういうことなんだい。

●山猿
難しい議論は止めて、簡単にいえばミクロ経済というのは、俺らが毎日生活している中で考え解決している経済、すなわち会社や商売、家計にかかわっての経済論理や。

マクロ経済と言うのは、その全体というか国全体に関わる好況、不況に関することや国家財政、金融全般に関わる経済論理のことを言う。

この二つの論理は、180度違うわけや。ここを理解することはほんまに難しい。いま、国会でも地方議会でもマクロの経済政策を、ミクロの論理で議論している議員がほとんどだと言って過言じゃない。

マスコミの世界でも、100%といっていいぐらいマクロの問題を、ミクロの論理で解説したり批判しているから、国民にも浸透しきっている。

だから、本当のことを理解している少数の政治家や経済学者、評論家は、まずこの「常識の罠」と闘わざるを得なくなる。すると、たちまちマスコミからの「常識」の嵐に遭遇する羽目におちいる。多勢に無勢、とうてい太刀打ちできない。おまけにマスコミに登場する機会を奪われ、ますます国民から、彼らの意見が聞ける場が失われていっている。

●紅葉
ミクロとマクロの経済では、その論理が180度違うってどういうことなんだい。

●山猿
例えば、企業や家計では、返す当てのない借金を続けるなんて許されないわけや。利益や収入に見合った企業運営なり家計のやりくりを、しない経営者や主婦(?)は失格ということになるな、当然やろう。

常に見通しを立てて、慎重な返済計画で銀行からの融資で設備投資したり、住宅ローンを組む。不意の不況で利益が落ちたり給与が予定したほど上がらなくなった場合などは、ムダをできるだけ押さえ必要経費も切り詰めながらやりくりする。

それでもだめな場合は、やむを得ず従業員の解雇に踏み切ったり手に入れた住宅を手放す。これがミクロ経済の世界の論理や。

では、マクロの世界ではどうなるかということや。先日GDP=家計消費支出+設備投資支出+政府(地方含)支出+純輸出(輸出ー輸入)という等式の話をした。

不況で家計収入が減り企業の設備投資も抑制され、輸出も激変している今のわが国の状況を放置すれば、当然税収も減るので、赤字国債を増発して政府支出を増やさない限り現状維持はおろか、どんどんGDPが減っていき、企業倒産や失業者が増えてセーフティネットはもちろん医療や福祉、教育や環境などを直撃するのみならず、国民生活に甚大な影響を与え、社会犯罪が続発するのは目に見えている。

「国内需要を増やさないといけない」と言うのは、実は家計消費支出+設備投資支出+政府(地方含む)支出+純輸出(輸出ー輸入)を、今どうしたら拡大できるのかということなんやな。

だいたいの数字で言えば、現状は名目GDP(500兆円)=家計消費支出(300兆円)+設備投資(90兆円)+政府支出(110兆円)+純輸出(10兆円)となっている。ただし土地や株、債券などへの支出は付加価値を生み出さないのでGDPに含まれない。

いまの状況で家計消費支出が伸ばせるか?定額給付金はそのためのものやけどあまりに少ないので効果はあまり期待できない。でも、やらないよりはましや。

また国際的な金融危機と大不況で、企業の設備投資は増えるどころか、既存の設備の稼働率を下げざるを得ないのが現実や。もちろん純輸出も激減している。

ここは、どうしたって政府と地方自治体の公的支出を拡大しない限り,GDPはおちる一方やということや。
つまり長く続いたデフレ不況に輪をかけて世界的な大不況が加わった今の日本経済の中で、国内総需要を拡大させるためには、どうしても政府による大幅な財政出動以外に方法はないということなんや。


●紅葉
だけど、そこで問題になるのが、果たしてこれ以上政府支出を拡大させることができるのかということだ。
国と地方の「借金」は800兆円以上になっていて、国民一人当たり600万円以上の借金を背負っていることになる。
「この上さらに借金抱えてどうするのか?日本という国が破産するんじゃないのか」と、誰もが心配になる。

●山猿
問題は、まさにそこなんやな。皆、この「壁」にぶつかって、にっちもさっちも行かないというのが、現状やな。

●紅葉
しかし、お前は日本の国は世界有数の「余裕のある国」だと言っていたな。国内需要を増やすためには、国民がもっとお金を使わないとあかんということか?

何しろ、わが国の家計が持っている金融資産が1434兆円もあるということやから、「これをもっと有効に活用すべきだ」という議論をよく聞くが・・・。

●山猿
国会でも与野党問わず国会議員が、時々そんなことを政府に迫っているな。俺はこの議論を聞くたびに、「この議員は、全くマクロ経済を理解していないあほな奴や」と思って、情けなくなるんだよ。

たしかに日本の家計の金融資産は昨年末で1434兆円ある。しかしその内訳をきちんと見てから、ものを言えと俺は言いたくなる。

現金・預貯金        792兆円
債券              44兆円
投資信託           47兆円
株式・出資金         87兆円
保険・年金準備積立金  402兆円
その他             62兆円

となってるわけや。

保険・年金積立金は、公的健康保険や公的年金と民間の年金・生命保険のことや。これを解約して消費にまわせるわけがない。債券や投資信託、株式などを売却したら、お金はできるが、国民の誰かがその債券を購入するわけやから、消費に回せる金が日本全体で増えるわけではない、わかるやろ。

唯一消費に回せるのは、現金・預貯金やが、その中には個人企業経営者の商品仕入れ代金や売上金、人件費、営業積み立て金が少なくとも100兆円は含まれている。

また、住宅ローンや自動車ローンなど家計の負債が375兆円ある事を忘れてはならない。すると現金・預慮金792兆円ー個人企業経営者100兆円ー家計負債375兆円=317兆円となる。

これを全国4500万世帯で割るとどうなるか。704万円になるわけや。この金を、消費にまわせといってることになるわけや。いざというと時の蓄えを取り崩して消費にまわせと言ってる政治家の極楽トンボの「掛け声」に、慎重な国民が乗るわけがない。

全く、非現実的なあほ論議とか言いようがないことを、国会議員がとうとうと議論してるわけや。ましてや、預貯金ゼロという世帯が、今全国で2割以上になっているという現実すら頭に浮かばないんだからな。

●紅葉
なるほどな、言われてみればその通りや。家庭の金融資産が1400兆円もあるといわれて、「僕の家はそんなに蓄えない」っ
て内心冷や汗もんやったけど、中味はそういうことか。それなら納得できるよ。となれば、どうしたら総需要が拡大できるのか?

●山猿
拡大するも何も、このまま行けば確実に今年度のGDP成長率は、マイナス6%から12%になるって予測やから、30兆円から60兆円国民総所得が減るということや。

一世帯あたり、年間60万円から120万円以上所得が減少する勘定になる。もちろん国民総所得には、企業所得も含まれているから家計所得の減少は、額面よりは少なくなるが、それにしても影響は甚大や。

だから、政府による思い切った財政出動、少なくても年間60兆円から100兆円の額の財政出動により景気対策が求められているんだ。これを2、,3年つづける。そうすれば、日本経済は長かったデフレ不況とこの国際金融危機を乗り越え、失業者ゼロのたくましい成長経済に転換できるわけや。

●紅葉
そんな60兆円とも100兆円ともいえるお金をどこから調達してくるんだい。

●山猿
国の財源調達には3つの方法があるわけや。
①税の徴収
②国債の発行
③政府貨幣の発行権

①と②は誰でもわかる。そしてどちらも今限界に来ていると言われているな。③の政府貨幣の発行権と言うのは、日銀が発行している日銀紙幣のことではなく政府が発行する政府紙幣のことをいうわけや。

1円から500円までの硬貨、そして記念硬貨などは政府の権限で発行している。その硬貨の製造原価を差し引いた「造幣益」は、まるまる政府の財源となって毎年国の予算に充当されている。

「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律・第42号第4条」に「国は貨幣発行特権を有している」と明記されている。この法律に基づいて、政府・財務省は1円から500円までの硬貨を発行し、時には天皇在位50周年10万円銀貨などを発行したりする。これは閣議決定で発行できる。

「政府は、この権限を活用して政府紙幣を25兆円発行して財源に当てろ」と、高橋洋一東洋大学教授(元財務省官僚・前内閣審事官)が最近言い出して「政府紙幣」が新聞や経済雑誌で報道され出しているということや。

(ちなみにこの高橋教授はつい先日、温泉風呂で窃盗を働いたということで書類送検されたという報道があった。その真意は不明)

●紅葉
その政府紙幣と日銀紙幣の違いは何なんや、山猿。

●山猿
日銀紙幣はみんな知ってる通り、千円、五千円、一万円札で日銀が発行権限を持っている。

政府は、毎年の予算編成時の歳入不足の際や、補正予算で臨時のお金が必要になった場合は、国会の議決を得て発行した国債と引き換えに民間銀行や機関投資家から日銀券を借りて予算に充当している。

当然その国債には利子がついているから、毎年利子を払うとともに、期限がきたらその国債も買い戻さなければならない。
現実には期限がきた国債は買い戻さずに借り換え国債を発行して、その額が600兆円とも800兆円とも言われている国債・地方債残高になっているということや。

政府が新たに発行した国債を直接日本銀行に引き受けさせることは、法律で禁止されていて、できないことになっている。ただし、国会の議決がある場合は、その額だけ日銀が直接国債を引き受けることができるという但し書きはあるけどね。

ともかく財源不足で政府が金が必要になった場合は、民間金融機関なり国民に国債を買ってもらい、その元利を毎年支払わなければならないという仕組みになってるということや。その国債の保有内訳は、先日の話で説明したな。

しかし政府が発行する政府紙幣は、そのまま政府の財源となり、その償還義務もない。利子を支払う必要もない。丸々政府の財源となる。これが政府紙幣や。

「この政府紙幣を活用せよ」と言っているのが、今は大阪学院大学の名誉教授になっておられる丹羽春喜という経済学者で、今から10数年まえから、デフレ不況に陥ってる日本経済を復活させるためには、国債ではなく政府紙幣を政府が発行して、総需要を拡大することだと一貫して主張されてきた。

つまり、政府紙幣なら国債と違って借金にはならず、まるまる政府の自主財源となる。「これを活用すべきや」と丹羽教授は提言してきた。その丹羽春喜氏の論を、高橋氏が一部借用して、25兆円の政府紙幣発行を主張し、それがいま話題になってるというわけや。

丹羽春喜氏は、この10数年のデフレ不況と、それに追い討ちをかけてきている国際金融恐慌に対し、5年ぐらいの中期プランとしての「600兆円計画マニフェスト」を政府にしているんや。

その詳細は今年の1月に発行された丹羽春喜氏の著書『政府紙幣特権を発動せよ 救国の秘策の提言』(紫翠会出版 1,000円)にわかりやすく書かれている。

また、坂下が推薦している三橋貴明氏の盟友で若手の論客・廣宮孝信という人がこの3月に出版した『国債を刷れ!国の借金は税金で返せのウソ』(彩図社・1524円)でも、丹羽春喜氏の論が紹介されている。

この廣宮氏の本は、経済書分野での今ベストセラーになりつつある。

この2冊の本は、いづれもわかりやすく、これまで誰も指摘しなかった真実と提言が詰まった必読の書物や。目からうろこが落ちると,俺は自信を持って断言するよ。

●紅葉
その丹羽春喜氏の「「600兆円計画マニフェスト」って、簡単に言うとどういうことなんや。

●山猿
それは、「国の貨幣発行特権」を使って600兆円の政府紙幣を発行し、今後5年間にわたる景気対策の財源に当てよということや。しかし、わざわざ政府紙幣を発行して流通させる必要はなく、国すなわち政府が持っている「通貨発行特権」の600兆円分を日本銀行に売り渡す。

そして日本銀行から政府の日銀預金口座に600兆円を振り込んでもらう。ただ、それだけの手続きでなんらコストはかからないというわけや。

そして政府は、この600兆円の自主財源を使い、5年計画で様々な国民生活に関わる不況対策に財政出動すれば、総需要は拡大しデフレ不況も世界的な金融恐慌も跳ね返し世界経済を立て直すこともできると、丹羽春喜氏は主張しているわけだ。

そしてその財源600兆円は、国の借金ではないから返済する必要もなく利子も支払う必要もないという「救国の秘策」だと提言している。

●紅葉
夢のような話やな、全く。そんなことしたら超インフレになるとちがうか?

●山猿
よその国がそんなことをやったら、超インフレになる。しかしこの秘策は日本の国だからできると丹羽さんは主張するわけだ。それだけ日本経済にはよその国にない「生産能力」の「余裕」があるといっている。だから600兆円の財政出動をおこなっても、超インフレにはならないと言うわけや。

●紅葉
その「生産能力の余裕」って、いったい何のことや。

●山猿
「生産能力の余裕」と言うのは、一言で言えばデフレギャップのことや。デフレギャップとは、日本経済全体が、完全雇用・完全操業状態が達成された時に実現するであろう潜在的GDP(国内総生産)の水準と、現実の総需要不足によって実現され
ている実際のGDPの差をデフレギャップとかGDPギャップというわけや。

すなわちGDPギャップ=潜在的GDP-実GDP というわけや。このGDPギャップがプラスの時はデフレギャップといい、そうなるとデフレ不況になり、物価はマイナス、失業者が増えていく。

これがプラスからゼロに近づく時は、失業者は減り完全雇用に近くなり、景気は好況になり物価は徐々に上がっていく。ゼロからマイナスになると総需要過剰になりインフレになるということや。

丹羽さんは計量経済学の権威でもあり、現在このGDPギャップが少なく見積もっても300兆円はあると計算している。
つまりかいつまんで言えば、日本の総労働力(完全雇用)+日本企業の設備資本投資量+技術進歩力を掛け合わせた総合的な潜在的生産能力は少なく見積もっても800兆円はあると計算しているわけや。

だから、政府紙幣という自主財源を使って政府が年間120兆円の内需を拡大しても、日本経済の持っている潜在的GDPの枠内に納まり超インフレなど起こることなどありえないといっている。

この300兆円を超えるGDPギャップこそが、デフレ不況を引き起こしている原因でもあり、また巨大財源を用いて総需要を拡大してもインフレにならない日本経済の「生産能力の余裕」というわけだ。

この日本経済のデフレギャップについて書かれた英文の論文が、米国も最も権威のある経済学術誌に掲載されその計算方法の正しさは、米国の経済学者たちに既に認められているんだよ。。

(これは専門的になるので説明は省く。学問的に詳細を知りたかったら、『新正統派ケインズ政策論の基礎 -真理を簡明な論理と実証でー』丹羽春喜著 06年 学術出版会3800円を参照されたし)

●紅葉
GDPギャップが300兆円もあるなんて、にわかには信じられないな。内閣府が毎年発行している「経済財政白書」では、5%ぐらいのGDPギャップがあると書かれてるね。

●山猿
そうや。丹羽さんは、この内閣府(旧経済企画庁)の経済分析スタッフが平成不況が始まって以降20年近く、「何らかの理由」」で、このデフレギャップの真の数字をごまかし続けてきていると痛烈に批判されてきた。

GDPギャップがたったの5%だったならば、好景気でインフレ傾向が日本経済に現われてこなければならない。
それが消費者物価指数もGDPデフレーターも、一貫してマイナスが続いているような日本経済のGDPギャップが5%ということは絶対ありえないというわけや。

内閣府の経済分析スタッフは、いかなるの理由で真の数字をごまかしてきたのか。また日銀や各官庁のスタッフ、民間シンクタンクに天下った官庁エコノミストのOB,そしてマスメデアが率先して、誤謬に満ちた風説を流し続け、学界、経済界、労働界
もこのコントロールに呪縛され続けてきた。政界は言うまでもない。

もしこの事実を、政治家や国民が知ったならば、このマクロ的な生産能力の余裕という「真の財源」を担保にして、現行法でも政府に与えられている「国の貨幣発行特権」を発動せよという声があがってくるのは、当たり前や。

現に前回説明したように自民党中堅政策グループから麻生首相に政策提言がなされており、元財務省官僚出身の高橋洋一氏が『政府紙幣』の発行を政府に要求しているのも、そういう流れの中に位置づけられるべきや。

丹羽さんの長年の政策提言は、この世界的な金融恐慌を前にしては、もはや黙殺できなくなってきている。

●紅葉
もし、丹羽さんの提言が正しいと仮定するならば、毎年120兆円を政府は景気対策に自由に使えるということになるな。

●山猿
そういうことや。毎年60兆円は地方自治体に分配し、地方の実情に合った景気対策に任せる。
地方自治体独自の公共事業や教育、児童手当、母子家庭、障害者、環境、定額給付金など、それこそ地方の実情にあった施策を、地方自治体の判断で展開する。

ばらまき政策なんて、けちな批判など吹っ飛ぶ。これこそ、地方分権じゃないのか?

後の60兆円を使って、国は年金や介護、医療などの基礎的社会保障制度の充実、マクロ的視野にたった金融安定化策や景気対策に使う。

これを5年間続ければ、日本経済は飛躍的に発展し、税収は増えGDPは拡大し、800兆円の国債残高も年毎に縮小し、国民の生活は質的に質的にも大幅に向上していくだろう。

それが可能になる潜在的力を日本経済は持っているということや。「生産能力の余裕」という『真の財源』を持っている。

それを、今回の金融恐慌の中で日本から消滅させてしまうのか、それとも、それを「担保」に文字通り『真の財源』として活用するのか、日本国民は今大きな岐路に立っているということや。

天国か地獄か、それはわれわれ国民の認識いかんにかかっているわけや。一応これでシメにする。こんなに長く書くことになるとは思っていなかった。

参考文献を挙げておく
国際金融危機を誰が仕組んだのか、その目的は・・・については触れられなかった。
興味あるなら次の書物がおもしろい。

◆『八百長恐慌 サブプライム=国際ネズミ講を仕掛けたのは誰だ!』
 鬼塚英昭著 08年 成甲書房 1700円
◆『世界恐慌という仕組みは操るロックフェラー』
 菊川征司著 09年 5次元文庫(徳間書店) 686円
◆『9・11テロの不都合な真実』
 菊川征司著  08年 5次元文庫 724円 
◆『金融の仕組みは全部ロスチャイルドが作った』
 安部芳裕著 08年 5次元文庫 648円

日本のでデフレ不況については、本文で紹介した2冊のほかに次の本がお薦め。

◆『円の支配者 誰が日本経済を崩壊させたのか』
 リチャード・A・ヴェルナー著 03年 草思社 2000円
◆『謀略の思想「反ケインズ」主義 誰が日本経済をダメにしたのか』
 丹羽春喜著 03年 展転社 2800円













  

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2009年04月02日

あほな会話 その5

●紅葉
僕らの会話にたいして反応が来てるよ。

①「バブル以降の失われた15年」を失敗例とみなしているようだけれど、この時期の対応はそれなりにうまくいった例ではないかと考えている。

②マスコミに思うのですが、不安をあおるだけで、日本では何が間違っていたのか、じゃ私達はこんな時どうすればいいのかを指摘する報道があまりなされていないようなのは、残念です。
 
 この不況は去年10月に突然始まったものではなく、既に何年も前からアメリカで既に始まっていたのだと思います。
 今まで国内の需要を引き上げる努力をしなくて、あまりにアメリカに頼りすぎていたというか、アメリカ一辺倒だったのでは。いつかはやって来る破綻だったのかもしれないと思ってしまいます。

●山猿
うーん。俺はこの会話を後2回で一応の締めにしようと思っていた。まず、①今回のサブプライムローンに端を発した国際金融危機から金融恐慌に陥っている中で、誰が仕掛け、誰が巨額の利益ををあげたのか、その目的はいったいなんなのか、その「からくり」についての話。

その後、②それに日本の政治と経済がどう立ち向かい克服していくか、その具体的政策を提案したかったわけやけや。だけど、①は、さておいて、②から話したいと思ってる。

●紅葉
というと、いまの「国債金融危機に日本はどう立ち向かっていくか」ということか?なんか、えらく話が大きくなってきたな。うまく話が進むか、不安や。

●山猿
話は大きくないと、おもろないやろ。一時はやった、「グローバルに考え、ローカルに行動する(?)」ってこっちゃ。
「サブプライムローン問題からの経済・金融危機は、いまに始まったことではなく、何年も前から起こっていた問題や」と指摘している。

これは全くその通りや。少なくとも10年以上前から計画されていた。それと、1997年の橋本内閣の「火の玉になっての行財政改革」から小泉内閣の「構造改革」が連動しているわけや。

「今まで国内の需要を引き上げる努力をしなくて、あまりにアメリカに頼りすぎていたというか、アメリカ一辺倒だったのでは。いつかはやって来る破綻だったのかもしれないと思ってしまいます。」

結論はこれに尽きるわけや。
つまり、「国内の需要を引き上げる」具体的政策の不在が、今日の日本経済なり国民生活の危機の根本原因なわけや。

日本経済の長い停滞と今日の危機は、今回の国際金融危機はきっかけであって、それ以前から、それこそ、バブルがはじけて以降のデフレ不況に対して1996年の橋本内閣から2008年までの福田内閣までの10数年、政府と日銀が進めてきた経済・金融政策が原因であり、サブプライム問題はそれに拍車をかけていると理解することがポイントなんだ。
バブル以降のこの20年間、日本の政界はめまぐるしい変遷をたどっているから、我われ国民は振り返ってみることさえ、ほんまに難しい。まず、いつなにが起こったかなんて、とっくに忘れてる。

「ついていくだけで精一杯で、過去を振り返るより、いまをどう生きるかが大事」ってところや。これはある意味、生活者のまともな政治感覚や。

ともかく、中曽根内閣の長期政権以降、竹下、宇野、海部、宮沢、細川、羽田、村山、橋本、小渕、森、小泉、安部、福田、そして麻生と、この20年間で14人も首相が替わってる。
まさに異常事態がつづいている。国民が政治にうんざりするのも当然やな。

とはいうもものや、マスコミの煽動に振り回され、有権者のそのとき、そのときの「気まぐれ」で一国の首相が「消費」され続けてきたというのも、この間の日本の政治だと言えなくもないから、「難しい」と痛感するな。

●紅葉
話を先にすすめよう。
お前の「1996年の橋本内閣から2008年までの福田内閣までの10数年、政府と日銀が進めてきた経済・金融政策が原因であり、サブプライム問題は、それに拍車をかけていると理解することがポイントなんだ。」って話を続けろよ。

●山猿
そうや、その話やったな。
バブルが崩壊したことがはっきりわかったのが1991年。株価の暴落につづいて地価の暴落が始まったのがこの年や。その後の銀行の不良債権に始まる金融不安、それが実経済を襲い、中小企業の倒産、銀行や保険会社の吸収合併、失業者の急増と続いていくわけやけど、それは省略する。

つまり、デフレ不況に陥っていくわけや。「デフレ不況とは何か」ってことやけど

①日本経済の総供給能力量=企業の設備投資量+労働力 +技術進歩力
②じっさいに生産される供給量、すなわちそれは市場では総需要と等しくなる

その①-②が、プラスになって拡大するとデフレ不況になる。簡単にいえば、供給過剰になって物価が下がり、企業は減産を強いられ、失業者が増える今の状況のことをいうわけや。

逆にお金が過剰になって、企業の総供給が総需要に追いつかず、需要過剰になると、物価が上がりインフレになるという現象や。日本では1974年のトイレットペーパー騒動のときと、あの1986年以降のバブルの時がそうやな。

ただ、あのバブルの時は、あくまで「資産インフレ」であって、一般物価はそれほどあがっていない。87年なんかは、一般物価は下がっていた。

実経済で言うと、実はあのバブルの時でも、総需要不足で日本の実経済は「デフレ傾向」だったということや。ここを認識することも重要なんだ。

そこでや。1990年代以降のことを「失われた10年」とは「15年」とかよく言うやろ。問題は「なにが失われたか」ということや。

デフレ不況に陥り、国内の総需要は縮小し、銀行は融資を増やすどころか、不良債権対策で「貸しはがし」や。

電器や自動車などの最大手企業は「円高」と「国内の高い労働力?」「貿易摩擦」を嫌って、国内から外国での現地生産にシフトする。「日本産業の空洞化」ってよく言われたあれや。

デフレ不況に対して、当初は宮沢内閣から村山内閣まで、いろいろ景気対策を打つわけやけれども、目に見える効果が出なかった。細かく見れば、一概にそうだとは決め付けられないんだが、省略する。

結論からいえば、どんどん国債残高が増え、いっこうに景気はよくならない。そこで橋本内閣や。

「火の玉になっての行財政構造改革」を掲げ、いまの日本経済の抱える問題は、財政出動や金利政策による「景気対策」では、解決できない構造に原因があるということに、なっていくわけや。

そして「財政改革」「行政改革」をメインに、消費税を3%から5%へ、特別減税の廃止、医療社会保障費の国民負担増、公共事業費の削減など、実に13兆円のマイナス景気策を強行する。

このことによって、日本経済は文字どうりデフレ経済に突入していくわけや。一般消費物価も、GDPデフレーターも前年比マイナスになっていく。そして、1998年の参議院選挙では自民党が敗北し、小渕政権となる。

この落ちていく日本経済に危機感を感じた小渕政権は、橋本内閣の「行財政改革」路線を凍結し、なりふりかまわず「借金」政策を推し進めるわけや。
そのかいあって、ようやく日本経済もデフレ不況から脱出しかかった時に、不幸にも小渕首相は、倒れるわけや。俺は、あの時ショックやった。このまま小渕内閣が続けば、必ずデフレ不況から脱却できたはずだ。

(余談だが、俺は、小渕首相は殺されたと思っている。)

そして森、小泉首相と続いていく。
小泉内閣が、竹中平蔵内閣府(旧経済企画庁)、金融担当大臣、総務大臣のリーダーシップのもと、小渕内閣の景気対策路線をぶっ潰し、橋本内閣路線を引き継ぎそれに輪をかけた「構造改革」路線を強行していったわけだ。

小泉内閣ができたのが2001年4月。米ブッシュ政権が発足したのもその年の一月。米国ブッジュ政権と協調した小泉内閣が、近年例を見ない6年近くも続いた長期政権の秘密を解く鍵が、ここにあるわけだ。
サブフライム・ローン関連金融派生商品が拡大していく時期と重なって、興味深い。

●紅葉
いよいよ結論に入ろうか。
デフレ不況が続く中で、今回の国際金融危機の影響で、銀行の信用収縮と企業の倒産失業、そして国も地方も税収減で「借金」がふくらむ一方だ。

にっちもさっちもいかない経済状況のように思う。にもかかわらず、政治の世界は、国民生活など眼中にないかのような「政争」の連続のようにおもえる。こんな中で、僕らはどう考えればいいのだろうか?

●山猿
俺が、定額給付金問題で、「2兆円なんてけちなことやめて、60兆円の国債を発行して国民に配れ」って、ある雑談で言ったとき、「なに、あほなこといってるのか」というあきれたムードになったことがあった。

まあ、常識で考えたらそうなるやろな。ほやけど、その「常識」が、いま問題なんだよ。その「常識」を一度打
ち壊さんとあかんのや。その「常識」は無意識のうちに日銀なり財務省からの長い間の「洗脳」の結果なん
だ。

それを打ち壊す基礎知識として、俺はこれまで4回にわたって基礎的なことを話してきたつもりや。これからが本番や。

しかし疑問は大切や。その疑問をすっきり晴らすために、おれはこれから力を尽くしたい。

 ◆誰かの借金は、誰かの資産
「国債は借金」や。では国は誰に借金しているのかということや。いま、国の国債残高は625兆円(06年)や。625兆円借金していることになる。では、その公債を所有しているのは誰はということや。

ちょっと古いが手元にある資料(06年)では、

(日本の国債保有内訳)
社会保障基金   84兆円(13,4%)
郵便貯金     124兆円(19,8%)
簡易生命保険   62兆円(10,0%)
日本銀行      93兆円(14,9%)
    小計    363兆円(58,9%)
   
民間銀行     130兆円(20,8%)
生保損保会社   63兆円(10,0%)
家計         27兆円( 4,3%)
その他        11兆円( 1,8%) 
   小計     231兆円(36,9%)

海外         31兆円( 5,0%)  

となっている。
この資料をじっと見て、なにを思う?

確かに、国は625兆円の債務がある。いったい誰が債権者なのか。債券の実に95%は、間接、直接あわせて結局国民が所有しているということだ。
ここを忘れてはならない。

毎年支払われる国債償還費と金利は、国民に支払われているということになる。だから国の債務が増えれば増えるほど、マクロで見れば国民全体の資産は増えていっている。

国債が国内で消化できている限り、国の借金は国民の資産であるということを、まず押さえることや。

 ◆国債残高だけに目を奪われるな!国全体のバランスシートで考えよ!
日銀のHPの「資金循環統計」を見れば、政府や民間がどれだけ金を持っていてどれだけ借金を抱えているかがわかる。
国内の全ての金融資産、全ての負債をまとめて、連結すれば下の表になる。

(ただし政府とは地方公共団体と社会保障基金を含む。そして商品在庫などの棚卸資産や建物、土地、機械、などの有形資産は除く)

(国全体の金融資産・負債のバランスシート 07年)
       (資産)             (負債)
政府     510兆円    政府     962兆円
政府以外 5353兆円    政府以外 4144兆円
                  負債合計 5581兆円
                        
                        (純資産)
                  政府   -452兆円
                  政府以外  734兆円

資産合計 5863兆円   純資産合計 282兆円


政府の借金(負債)も大きいが、政府の資産も大きい。ほんで、誰かの借金は誰かの資産だという原則を踏まえれば、政府の借金のほとんどは、民間の資産であることが分かるやろ。

1990年から2007年にかけて、国の借金は668兆円増えているが、民間の資産は1134兆円増えている。国の借金だけを見ていると世も末かと暗い気持ちになるが、国全体で見れば世界有数の余裕国であることを忘れてはあかん。これが、日本の底力や。

今の日本は
①国全体の負債が増えれば資産も増え、負債が減れば資産も減っている。
②国全体の資産は国全体の負債を上回っている。
③資産・負債の規模は増え続けている。そのわりにGDP(国内総生産)が伸び悩んでいる。

という状況なんやな。だから、問題は国の借金が大きいことではなく、なぜGDPが伸びないのかということや。

◆諸悪の根源は、「国に金がない」と思い込んでいること!

国も地方も、口を開けば「金がない、金がない」といって、やるべきことをサボタージュしている。
「切り詰め、切り詰め。無駄をなくそう。国民にも負担してもらわんとにっちもさっちも行きません。」と居直ってる。ズに乗って、さらに増税しようと財務省は目論んでる。マスコミも煽動してるな。俺らはだまされてはあかんのヤ。

税収はこの国債金融危機で落ち込むのはきまってる。国・地方の借金は1000兆円にならんとしている。国の税収は50兆円弱、歳出は88兆円。これ、どうする?無駄を省いて38兆円削減するか?
天下り廃止して、特殊法人潰して、国家公務員の人件費削減して、国会議員の人数を減らして歳費を削減して、さらに公共事業減らして歳入にあった歳出にするか?

いや、もっと有効なところに予算投入してないからあかんのや、有効なところに予算投入するか?
どっちにしろ、いまの予算の枠内であれやこれや考えてる限り、このデフレ不況からは脱却できない。
できっこない。できっこないなら増税するか?

38兆円の歳入不足なら消費税1%で約5兆円やから、消費税を今の5%から13%にすれば、かつかつとんとんになるわな。

しかしそれは、獲らぬ狸の皮算用や。今消費税を上げれば、ただでさえ国内需要が減ってるのにそれに輪をかけることになる。大不況や。ますます税収は減るにきまってる。。

●紅葉
おい、おい。だんだんお前の口調は過激になってるぞ。それで、お前はどうすべきやと言いたいんだ。

たしかにお前の言うことには一理ある。
国の借金の額だけを問題にするのではなく、その借金に見合う資産が国にはあるわけだ。そのことを隠して、財務省やマスコミは、ひたすら国の借金の額だけを煽って、国民一人当たりこれだけ借金があると脅迫してる。だから消費税値上やと。

よく考えてみれば、国が外国から借金しているのは、たった5%か。ましてや、国の借金は国民の資産であり、、これが他の金融資産と比べて段違いにリスクの少ない国債という金融資産だからな。

ましてや、国全体の金融資産・負債のバランスシートでは、プラス282兆円か。

●山猿
そういうこっちゃ。こんな余裕をもった国は、世界の中でほとんどないんやで。
まず、そのことに我われ国民は、自信を持つべきなんや。政府も日銀も、マスコミも何も言わないけどな。

もっともっとわが国は、他国と比較して段違いに有利な面をもっている国でもあるんだよ。それについては、
次回に話するが、それらを踏まえれば、この国際金融危機・恐慌がどのようになろうと、国際金融権力がどんな暗躍をめぐらそうと、日本こそが一番早く脱却し、世界経済をリードできる潜在能力をもっている力を持っている国なんだということがわかるよ。

その潜在能力を認識しているか、していないか、これがこれからわが国の進路を決定するわけや。


  

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2009年03月15日

あほな話 その4

●紅葉
「日銀は日本を破壊しようとしている機関ということになるが、なぜそんなことをするのか」というところから、話を再開しよう。
日銀はどうして日本経済を破壊しようと考えているんや、山猿。

●山猿
前回、1980年代後半のバブルを生み出したのも、90年代に潰したのも、日銀の「窓口指導」が原因だと説明した。

なぜ、日銀はそんなことをしたんだろう。いくら大蔵省との対立なり、権力争いがあったとしても、「どんな組織でも権力争いはあるわけで、だからと言って意図的に日本経済なり国民生活を破壊することが目的だったなんて、ちょっと信じられない」ってところが、みんなの根本的疑問だろう。それは俺にもよく分かる。

そこで、まず考えんとあかんのは、日本銀行とはそもそもなんやということや。その国の「中央銀行」ってことやけど、まずその最も重要な役割りは、何と言っても、その国で唯一通用する通貨「日銀紙幣」を独占的に発行する権限を持っているということだ。
つまり、日銀紙幣とは千円から1万円までの紙幣を中央銀行が独占的に通用させている。

それでは、その紙幣が通用する根拠は、いったい何なんだろう。誰も日頃は深く考えてないけど、なにが根拠なんだろうか?
この紙幣1枚の原価はたった16円や。大阪造幣局が印刷して日銀は1枚16円で引き取って、1万円なり5000円、1,000円紙幣として世の中に通用させている。
もはや、「金と交換」できる兌換紙幣ではない日銀紙幣は、なにによってその価値が裏づけられているのだろうか。

・・・別に何もないわけや。

ただ、ただ、強制的に1万円の価値がある唯一の紙幣だと法的に定められただけに過ぎない。その発行、流通権限が日本銀行だけに認められているということや。

そして、なぜ中央銀行だけに認められているのかという問題になってくる。このあほな話の初めに、銀行の成り立ちについて説明したな。最初は、それぞれの銀行が独自の銀行券を発行し、世の中に流通させていた。その裏づけは兌換紙幣だったので、いつでも金と交換できたから、紙幣として通用した。

しかし保管している金よりも多くの紙幣を発行し荒稼ぎしていた銀行が、何かことが起こると金不足で交換できなくなり銀行が破産した。それを防ぐためにカルテルをつくり銀行同士が金を融通し危機を防止するようになった。つまりリスクヘッジや。

それでも間に合わなくなってくる。それで銀行家は考えた。勝手に個々の銀行が銀行紙幣を発行するのを禁止させて、有力な少数の民間銀行だけが参画できる中央銀行を作り、そこだけがその国の通貨発行権を持つことができるよう、国家に認めさせた。それが中央銀行のそもそもの始まりや。最初に中央銀行ができたのはオランダで次にイギリスにできた。いづれも17世紀後半から17世紀末だった。日本では1882年(明治15年)、米国のFRBは1913年に設立された。

しかし実は、これらはいずれも国立・国有の中央銀行ではなかったんや。有力な民間銀行が資金を出し合って、株式会社「中央銀行」を設立し、資金を出した銀行が株主になっていった。オランダ銀行、イングランド銀行、フランス銀行、日本銀行、FRB,これらの中央銀行はいづれも株式会社、民間銀行として出発した。その株は、いずれも当時の有力な少数の商業銀行が保有した。

●紅葉
中央銀行とは国が所有する国有銀行じゃないのか?

●山猿
違う。そこをみんなカン違いしている。民間の有力銀行が出資して設立した中央銀行だったから、最初から国家・政府から法的に独立していたわけだ。そして特に英国、米国、仏国の中央銀行の株主は当時もいまもロスチャイルド系やロックフェラー系などの金融財閥が独占している。

1913年に米国にできたFRBの設立を調べると、米国上院、下院をどのようにしてだまして可決させたか、ユースタス・マリンズの著作・『民間が所有する中央銀行』(秀麗社 08年2版)に詳細に書かれている。現在世界中の中央銀行は、中国やロシアなど一部を除いて全て100%民間か半官半民の銀行で、法的に政府から独立している。

だから、その国の通貨発行権は、政府や議会はもっていない。中央銀行だけが持っており、いくら通貨を発行するか、どの銀行にどれだけ貸し出し、国の借金である国債をどれだけ所有するかなど世の中に流通させるお金の量は全て中央銀行の権限で決めている。

考えてみればこれは、すごい権限やで。と言うか、全ての権限の中で最高峰の権限を、時の政府、国会の意志から独立して民間の中央銀行が握っているということやからな。

国家・政府に通貨発行権がないということは、国家の税収が不足して歳出がまかなわれない時は、国が国債を発行して中央銀行なり民間の金融機関に「利子付きで借金」しなければならないという仕組みになっているということや。
この仕組みこそが、どの国も、どんどん借金が積み重なっていかざるを得ない原因になっていく極めて重要かつ問題おおありの「からくり」なんや。

なぜ、国民の公共物である最も大切な死活に関わる国の通貨を、民意を無視して、民間の中央銀行の独自の意志で発行できるのか。なぜ国家の政府が、中央銀行や民間銀行から利子つきのお金を借金して用立てしなければならないのか。
このことをもっと深く考え抜かないとあかんと思わないか。

●紅葉
なるほど、そういわれてみればたしかにな。だけどそんなこと、考えてもみなかったし、だいたい、思いもつかないよ。ところで、日本銀行も民間銀行なのか?

●山猿
そうや。株式会社でれっきとした民間銀行や。1882年に設立したのは松方正義なんやけども、彼は1878年3月から12月
まで、中央銀行視察のためにフランスに渡り、当時の仏蔵相レオン・セーから指導を受けた。

レオン・セーは、「セーの法則」という経済学で有名な経済学者ジャン・セーの孫や。そのレオン・セーは、フランス・ロスチャイルド家の使用人であり、彼を通じて松方はロスチャイルド卿の私邸に招かれ、そこに集まっていたフランス銀行
やイングランド銀行などの株主から、西欧の中央銀行のしくみをじっくり伝授されていったんや。

日本銀行は、設立以来ずっと西欧の中央銀行と同じく民間銀行で法的に政府から独立していた。それが1942年、東条内閣の時、戦時経済で軍需産業を重点的に発展させなければならない必要に迫られて、日銀法を改正し、日銀の株も55%を政府
大蔵省が所有し、国家の支配のもとに日銀を従属させたんや。

すなわち、日銀の権限であった「窓口指導」を政府大蔵省の主導で活用し、日銀に軍需産業へ重点的に信用創造を注入させていったわけや。そういう意味では、1942年以降日銀は政府からの独立性を、日銀法の改正によって政府・大蔵省に奪われたということや。

これは戦後も引き継がれた。この中央銀行が法的に政府なり国会の従属化のままになっていることに、危機感を覚えたのが各国の中央銀行を支配していた国際金融資本だった。このまま放置していたら、いつか、各国の中央銀行のあり方に大きな影響を及ぼすに違いないという彼らの当然の危機感だった。

既に欧米主要国の中央銀行の集まりであった国際決済銀行(BIS)が、第一次世界大戦後ドイツに課した莫大な賠償金を、どう分配するかということをきっかけに、設立されていた。このBISも、各国の政府や議会の民意とは独立に、各国の中央銀行の集まりすなわち欧米の主要金融資本家の集まりだった。

話は飛ぶが、この国際決済銀行が、いまBIS規制とかなんとか、銀行の資産を算定するのに簿価(買ったときの値段)から時価(時々の相場)に会計基準を変更したりとか、様々な国際金融のルールを勝手にかえて、世界の民間銀行に一方的に
押しつけているわけだ。

このBIS=国際金融資本と連携した米国デトロイト銀行頭取のジョセフ・ドッジがGHQの財政顧問として1949年に来日し、日銀を政府から独立させようとしたわけや。当然1942年に政府・大蔵省の従属化に置かれ続けてきた日銀首脳の利害
とも一致した。というより、米国金融財閥との戦前からのパイプを活用して、ドッジを来日させたのは、当時の日銀総裁一万田尚登や「窓口指導」を担う営業局長佐々木直の要請だった。

彼らに育てられた前川・三重野・福井の日銀プリンスが後に続いていくことになる。結果的にその時は、日銀法の改正には失敗するわけやけれども、ドッジの力を利用して、日銀は大蔵省からある重要な権限を奪い取った。

●紅葉
確か日銀法の改正は、日銀プリンス達が10年計画でバブルを作り、バブルを崩壊させて1998年に実現させたんだったな。
それじゃ、その時の重要な権限を大蔵省から奪い取ったというのは、何や。

●山猿
これは、今日政府や大蔵省、国会が有効な経済政策を打てなくなっている根本原因といってもいい権限なんだよ。

敗戦後、日本の銀行は政府が発行した戦時国債を大量に保有していたから、それが敗戦によって巨額の不良債権となってしまった。今とは比べ物にならないくらいの不良債権、金融収縮・危機であった。にもかかわらず、何ゆえにあの敗戦から日本経済は急速に戦後復興ができたのだろうか?

その理由こそが、大蔵省と日銀が戦後の数年間一致協力して「無からお金」をつくりだし、大量に民間銀行に信用創造が可能になる状況を作り出し、その資金を民間企業に重点配分していったからや。

まず日銀が、自らつくったお金を政府に直接貸し出す。さらに日銀は、銀行の抱える不良債権を簿価で買い取る。そして1947年には政府・大蔵省が、「復活金融公庫」を設立して、復興金融金庫債を大量に発行し、その全額を直接日銀に引き受けさせた。その日銀が提供する資金を使って、大蔵省が民間企業にその資金を貸し付けていった。

つまり戦時中と同じように、大蔵省が」「窓口指導」の権限をフルに使って、戦後の急速な経済復興の足固めを行っていったのである。これが成功した。

戦後復興が成功するにつれて、このままでは大蔵省指導のままに、日銀はただ資金を提供する存在になってしまう。何とか「窓口指導」の権限を大蔵省から奪い取り、日銀の独自の権限を復活させなければならないと焦った日銀首脳は、ドッジに復活金融公庫の廃止を要請するのである。ドッジ自身、中央銀行の政府からの独立を日本で実現させるのが目的であったから、当然、日銀の要請にこたえて、復活金融公庫を廃止する。

そして、その代わりに大蔵省に作らせたのが、日本開発銀行や国民金融公庫などの政府系金融機関や。

●紅葉
政府系金融機関ができたなら、それでいいんじゃないのか。何がそんなに問題なんだ?

●山猿
それがおおありなんだよ。

政府系金融機関とそれまでの復活金融公庫とでは、全くその機能が違う。まず、政府系金融機関は、中央銀行からの信用創造が受けられない。つまり大蔵省の権限で日銀に信用創造を生み出させ、お金の量をふやすことで民間企業に融資することができなくなったんや。つまり「窓口指導」の権限を大蔵省は無くしたのである。

政府系金融機関の原資となるのは、日銀の信用創造ではなく、郵便貯金に預けられたお金を活用することになった。郵便局は銀行ではないので信用創造機能を持たない。郵便貯金に集まったお金を、そのまま政府系金融機関の口座に移すだけだ。お金の量を増えない。

だから、政府系金融機関の融資では、GDPを増やせなくなる。既にあるお金の使い道を変える機能しか持っていないわけだ。
つまり、政府系金融機関を活用しての政府の不況対策では、景気を回復させることができないということや。

ちなみに日本開発銀行は、現在は日本政策投資銀行となっている。この銀行をつかって、麻生内閣は景気対策を打っているわけやけれども、この銀行にも信用創造機能がないから、これをいくら活用しても景気を回復させることはできない。
だから政府、新たなお金を生み出すような経済対策を意識的に打ち出さないといっこうに景気は回復せず、ますます悪化していく結果に陥るということや。

しかし新たなお金を生み出すような経済対策は、1998年の日銀法の改正によって、政府は剥奪されたままになっているんだな。それができるのは、日銀だけや。これが、バブル以降の失われた15年であり、デフレ不況が続く原因となっている。
そのことに気がつかない限り、いまのままの政府の経済対策では、誰が首相になろうが、どの政党が政権をとろうが、この国際金融恐慌から日本を脱却させることは不可能だということや。

逆にいえば、そのことを歴史的教訓として認識し、政府が的確な法改正を含めて、日銀から信用創造機能を奪い返すなり、日銀の政策を政府の政策と一致させることができれば、戦後の経済復興が可能だったように、今日の国際金融恐慌から脱却し、日本の景気回復ができるということや。

つまり、そういう意味で、ドッジの復活金融公庫の廃止と言うのは、政府、国会から日銀、民間銀行の信用創造に対する影響力を奪ってしまったという意味で、政府・議会ひいては国民が、株式会社日本銀行には敗北したことを意味しているわけや。

第二の敗北が1998年の日銀法改正ということになるな。

国民の民意が届かない、政府の権限が及ばない、法的独立性をかちとった日銀の金融財政政策が、国民生活を安定させ向上させることではなく、BISや国際金融資本の恣意的意志に従ったものになっているということが、理解できたか。

●紅葉
分かったような、そうでないような。でも歴史的なことは、何となく理解できたような気がする。

●山猿
俺も、ここまで話してきて、今回話しようと思っていた内容とちょっと違っていると感じている。話が、俺の当初の意志と離れて、話が自然展開していくようで、規制をかけられない。

すまんが、このまま会話自身の自己発展にしばらく付き合ってくれ。
つづきは次回にしよう。どうも終わりそうにないな・・・ 

  

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2009年03月12日

あほな話その3

●山猿
80年代末から90年代にかけて起こったバブルと、その崩壊について、おれの考えを説明するよ。

紅葉が最初に説明していたように、1985年のプラザ合意によって日本は米国から「低金利政策」を押し付けられた。アメリカの目的は、日本の低金利と米の高金利による金利差によって、日本の円資金を米国に流入させ、レーガン政権の貿易赤字と財政赤字の穴埋めをさせることだった。日本に対する内需拡大と米国からの輸入拡大という要求は、あくまでも
日本向けの建前に過ぎなかった。

当時、中曽根首相がデパートに出かけていって、米国製のネクタイを買うシーンが新聞やテレビで報道されたこと覚えているか?あほなパフォーマンスやった。まるで米国のピエロやったな。これもあほな官僚のアイデアやろう。
今回の中川財務大臣の一件も、周りの財務省官僚の危機管理の欠如と日銀官僚の「足引っ張り」によって、意図的に引き起こされたに決まってる。IMF総裁とローマ・バチカンも一枚噛んでるかもしれない。 

それぐらい今回の世界恐慌での各国の駆け引きは「妖怪」そのものなんだということを前提に、中川大臣も臨まなければならなかったのに、まんまと罠にはめられてしまった。ほんまに情けない。
 
今、問題になってる小沢・民主党党首の「西松建設献金問題」なんぞは、ミエミエの狙い撃ち攻撃やな。小沢民主党政権を作らせないという「国際金融資本」の意志がまずあって、西松建設を餌食にし検察庁に操作させたわけでしょ。その国際金融資本の意図を知ってか知らずか、構造改革路線を続行させたい、ある仕掛け人が国債金融資本の圧力を利用して検察庁を動かして
いると見るのがあたりまえや。
 
小沢は、ローキード事件での田中角栄の側近だ。側近のうちただ一人ローキード裁判を一回も欠かすことなく傍聴した国会議員やから、この事件の国際謀略とそれと結託した三木政権の「国策捜査」の実態を身に沁みて理解している。
もしいま、田中角栄が首相だったら、国際金融資本と対決し日本経済を力強く回復させ、アジア経済を牽引して行っただろう。

小沢は田中角栄と違って力量的に疑問な面もあり、俺は好きな政治家ではないが、自己保身に汲々としている政治家の中にあっては、突出しているのは確かや。
また一人、裏も表も知り尽くした政治家が政界から消えていくのか。このままでは米国の日本支配が、ますます強まるな・・・。
小沢党首も、検察総長を国会に喚問して徹底的に戦うべきや。

それはともかくとして、1985年当時は、金利政策は経済状況を見ながら大蔵大臣が決めて、日銀の政策委員会に指示を出し、日銀は「金利を上げ下げ」しなければならなかった。そういう意味では、金利政策は大蔵省主導だった。
 
ここからバブルの「大蔵省主犯説」が生まれてくるわけや。日銀は、この大蔵省の法的支配を打ち破ることが戦後から一貫しての「悲願」だった。

米国の対日圧力を絶好のチャンスと見て、日銀首脳は「大蔵省支配打破・10カ年計画」をたてて、ついに1998年に「新日銀法」を成立させ、日銀の政府・大蔵省、国会からの独立をかちとっていく。かたや、大蔵省は2001年1月に、金融部門が剥奪され、財務省と名を変えて今日に至っている。
 
この「新日銀法」による日銀の政府・大蔵省からの法的独立が、実はその後の日本経済が混迷を続けざるをえない「諸悪の根源」であって、もっと具体的いえば、政府・財務省、そして国会が有効な景気対策、経済政策を打てなくなる「原因」となっているわけだ。
 
その意味では、この「新日銀法」のもっている意味を理解することが一番重要なんだが、それを認識している人が、政府の経済政策を打ち出している政治家、経済学者、官僚を含めて、ほとんどいないと言うのが、今日のに事態を生み出しているわけや。
この日銀の政府からの独立が、今回の世界金融恐慌下での日本の経済政策にとってのキーポイントなんだということを、覚えておいてほしい。このあと、展開することに大きく関わってくる。

1985年の米国の圧力は、実は日銀首脳とFRB(米国の中央銀行)首脳が、裏工作していたことは明らかなんだが、そのことについては横道にそれるので今回は触れない。この話をしたいという強烈な誘惑に駆られるが、最後余裕があったら触れたい。

話を戻すが、米国の圧力によって大蔵省は公定歩合を引き下げることを決定し、日銀政策委員会で実施を認めさせた。公定歩合を下げると、銀行の企業、個人への貸出金利も下がり、例の「信用創造」によって融資額も増え、新たなお金が商取引に使われ、GDP(国内総生産)も増加し、対米輸入も増えるという理屈や。

●紅葉
なんか、、山猿のそっちの話も今聞きたい誘惑に駆られるが、話を本筋に戻そう。
日銀の政府からの独立か?それで、1985年以降のバブルと、90年以降の崩壊における日銀主犯説のからくりに話をすすめていけよ、山猿。

●山猿
分かった。80年代後半の日本のバブルは凄かった。不動産や株などの価格が急騰し「資産インフレ」そのものだった。だが不思議なことに一般の物価上昇率は驚くほど安定していたことを覚えているだろう。87,88年などは物価上昇率がマイナスになっている。なぜ、一般の物価が上昇せず、資産物価だけが急騰したんだろう。

経済全体で考えた場合、「お金の増加分」と「全体の経済取引の増加分」は等しくなるわな。物価が上昇するのは、お金の量は増えた分にたいして、経済取引の増加分が追いつかない時に起こることは理解できるやろ。お金の量が増えて需要が増えているのに、供給が追いつかないということや。
 
銀行が新たにおこなった信用創造、つまり銀行の融資のうち資産部門に向かったお金の分だけ、不動産や株式の供給が増えなければ、その価格は上昇するわな。つまり「資産インフレ」や。

一方、モノやサービスの取引に向かったお金の量と同程度に生産量が追いついていれば、一般物価はほとんど上昇しない。つまり、お金が増えた量と同じだけ取引量が増えれば、その価格は上がらないわけや。
逆に、生産量は増えているのに、流通するお金が増えていない時はデフレになる。日本は、この間ずっとデフレが続いているのはそのせいだ。

経済成長とはGDP(国内総生産)が増えるということや。GDPは、一年間で国内で生み出した付加価値(生産、労働によって生み出した価値)の総額だということは、当然紅葉は知ってるな。
国内支出の面から見れば、GDP=国民消費+設備投資支出+公共部門支出+純輸出(輸出ー輸入)という等式が成り立つ。

土地の取引や株式の取引それ自体は、土地や株を取引によって新たに生産するわけではないから、その価格が上昇しようが下がろうが、付加価値は生まないのでGDPの増減、すなわち経済成長率に含まれない。ここを理解することも重要なんだよ。

つまりや、銀行融資・信用創造によって生み出されたお金が、どんな部門に回るかによって、経済全体への影響が違ってくると
いうことや。銀行全体でいくら貸し出すか、誰に貸し出すかという「意思決定」をするものが、その国の経済を左右するということになるわけだ。誰にどれだけ融資するかということは、各銀行が自らの判断で、預金準備率が許す範囲内で決定しているように見えるわな。
 
1997年以降はさらに、国際商取引銀行は8%、国内取引に限定している銀行は4%以上の貸し出し量に対する自己資本を確保
しないと取引停止になるBIS(国際決済行)規制が加わったが、融資の貸し手と借り手の関係でいえば、常に借り手のほうが
多いのが銀行融資の需給関係だから、融資の決定権は銀行側にある。
だから、バブルの主犯として大蔵省とともに、銀行が批判の矢面に立ったわけや。あのころの銀行員は大変やったわけだ。

「無理やり貸し付けて国民をバブル付けにして、自らは高い給料取りながら、急に融資を抑制し、貸し渋り、貸しはがしを行い、
挙句の果てには、国民の税金を使って銀行を救済するなんてけしからん」、「大蔵省と銀行はグルや」というわけで、マスコミは煽り、国民の怒りは銀行と大蔵省に集中した。

そこで、三重野日銀総裁が誕生し、バブル退治ということで金融引締めと金利の引き上げ」を行った。
当時は「平成の鬼平・バブル退治の国民の味方」ともてはやされたことを覚えているだろう。
そして、バブルがはじけた90年代以降、、何回もの景気対策を打ちながらもデフレ不況を解決できず、莫大な赤字国債だけを残した歴代政府の無策とマスコミは叩いてきた。

 「これまでの日本経済の構造そのものに問題がある。国際社会に乗り遅れた旧態依然の構造そのものを変えないといけない」ということで、小泉内閣の登場となっていく。これに政界も財界も国民も煽られ、乗せられ、今日に至っているというわけやな。

●紅葉
おい、おい山猿。お前の話また本筋からずれて行くような気がするんだけど。

●山猿
悪い、悪い。何の話だったかな?バブル批判が大蔵省と銀行に集中したということやったな。そして俺は、日銀主犯説を主張していて、それを立証しようと、話しているんだったな。すぐ脱線しそうやから、その時は、また頼むで。

ほんでや、あの時のバブル発生の原因は、米国の圧力が原因でも大蔵省の金利引下げを日銀にやらせたことでも、銀行の過剰な融資押し付けでもなく、陰に隠れて銀行を力ずくで従わせてきた日銀の「窓口指導」にあったと言うことだ。

「窓口指導」とは何か?この「窓口指導」が戦後の日本の高度経済成長を生み出し、バブルを発生させ、バブルを潰し、90年代以降今日までデフレ不況で国民を苦しめてきた「すご腕」なんだよ。
それでや、米国の圧力で大蔵省が日銀に金利を下げ、銀行が融資過になり、金余り現象を引き起こしたことがバブルの原因だったかのように見えるが、実はそうではなくて、日銀の「窓口指導」が原因だったわけだ。

景気対策には政府が国債を発行しての財政政策や為替対策、日銀の金利政策などが主な経済政策だといわれている。
そしてこの10数年これらを駆使してきたにもかかわらず、日本経済はいっこうに回復してこなかった。その原因は日本の固有の構造に問題があるということに発展して、国も地方も、企業も、挙句の果ては家庭のあり方から、国民の生き方・意識まで「構造改革」のオンパレードが続いている。

俺は、「あほと違うか。一体何を議論してるんや。」と思い続けてきた。その怒りが、この「あほな会話」になっているわけや。

くりかえすが、銀行の信用創造により生まれた新たなお金が、GDPに含まれない不動産取引や株などの金融取引に、より多く向かった場合には、資産インフレがおこる。
またその新たなお金が、GDPに含まれるモノやサービスの取引に向かった場合は、そのお金が生産量を高める設備投資よりも需要だけを増やす消費により多く向かえば、物価が上がることになるという話をしたわけや。

そこで、日銀は金利政策の権限は大蔵省に任せて、いかにも大蔵省の指導に従ってやっている「ふり」をみせながら、金利政策より日本経済にとって、もっと重大で影響力のある銀行の「信用創造」を直接規制する「窓口指導」という道具を使って、「資産バブル」を発生させたわけや。

具体的には、銀行全体でいくらの額の信用創造を作り出すか。その新たなお金を誰に貸し出すか、それらを都市銀行、第一地銀、第二地銀といった順番で枠をはめ、個別に日銀の本店、全国の支店窓口に銀行担当者を毎月呼びつけ、こと細かにチェックし指導していったのである。これを「窓口指導」というわけや。

銀行はそれぞれ業界内で激烈なシェア争いをしているから、日銀によって割り当てられた貸し出しの規模が達成されないと次の割り当てを減らされその銀行のシェアを落とすことになるので、割り当て枠を達成することが銀行の至上命令となって、銀行員に貸し出し枠達成のノルマを課した。これが、あのバブルの時の銀行の実態だ。

日銀は、86年から89年前半までの3年半にわたり、各銀行の融資枠=信用創造の伸びを大幅に拡大させたのである。それも貸し出しの規模だけではなく、その融資先まで細かくチェックしていった。
当然多額のお金が不動産や株、ゴルフ会員権などに投入されていっていることも把握していた。というよりそれを日銀の窓口が誘導したわけだ。

銀行は、「このまま続けば大変なことになるのでは・・・」と思いつつも、そんな疑問を発すれば競争に負けるということで必死に自らのノルマ達成に邁進した。その挙句の資産インフレの急騰であった。株も土地もどんどん上がるから、銀行は上がった土地を担保にまた貸し出す。バブルのいつものパターンだ。

ころあいを見て、日銀は89年の夏ごろから、徐々に銀行割り当てを減らしていきながら、マスコミを使って国民のバブル批判をあおりつつ、大蔵省銀行局に融資の総量規制(土地への融資量の増加を全体の増加量の枠内に抑えること)の指導をすることを促がすわけや。それで大蔵省は銀行に通達を出す。

それに乗じて、日銀は窓口指導で徐々に減らしていた信用創造割り当てを急減速させていく。いよいよバブルの崩壊だ。1989年末に日銀生え抜きのキャリアの三重野副総裁が大蔵省出身の日銀総裁と交代し、平成の鬼平となって金利を引き上げていくのである。

90年以降急速に銀行の信用創造が減少し、土地、株の価格が下落し始める。銀行融資で土地、株を保有していた不動産業者や機関投資家をはじめ投機に関わっていた国民は、たちまち返済不能におちいり、銀行は大量の不良債権を抱えることになり、実経済も深刻化していく。いまの国際金融不安の日本版やな。

90年代は、深刻なデフレ不況が、日本経済を襲い、歴代政府がその間10数回の景気対策で総額150兆円の財政出動を行い、日銀はいったん引き上げた金利を引き下げていく。しかし、思うように景気は回復せずデフレ不況は続く。

ここから、いま日本経済の危機は、財政政策でも金利政策でも回復しない「構造的問題」があるからだという事になり、資本市場の自由化、規制緩和、市場原理、行政改革、グローバリズムなどが改革の主流を占めていくようになっていくんだな。「改革論者」がマスコミでももてはやされていく。

こんな日本改造計画を目論んだのが、実は日銀の「10年計画」だったことに、当時ほとんどの国民は気づかずに洗脳されていったわけや。

●紅葉
その日銀の「10年計画」っていったいなんなんだ?いま初めて聞く言葉や。

●山猿
当然やな、日銀のごく少数の者と国際金融資本との秘密工作なわけやから、知らないのはあたりまえや。 

●紅葉
また、お前の例の闇の国際金融権力が出てくるのか・・・。

●山猿
まあ、そない言わんと聞いてくれ。

 「前川レポート」って聞いたことあるやろ。1986年に当時の経済同友会の幹事で中曽首相の経済諮問機関の座長を務めていた前川春夫(79年~84年まで日銀総裁)という人が出したレポートで、日本ではじめて日本経済の構造改革と金融自由化を訴えた内容だった。このレポートを実際に書いたのは、当時の日銀副総裁の三重野康と、日銀の「窓口指導」を一手に取り仕切っていた日銀営業局長の福井俊彦だった。

この前川、三重野、福井という日銀キャリア組の最高権力者が、「窓口指導」という「すご腕」を使って、バブルを発生させ、バブルを崩壊させ、そしてデフレ不況を長引かせ、構造改革という名の日本経済破壊工作を行ってきた主犯中の主犯なわけだ。

そして1998年についに計画の2年おくれで、日銀法の改正を実現させるんやな。ずっとその間のこと調べていくと、その手法は国民の敵ながら「すごい」と思わず唸ってしまうよ。小泉首相や竹中平蔵などは、日銀首脳と国際金融資本の手の中で踊らされた尖兵だといっていいだろうな。

日銀総裁には、日銀キャリア組と大蔵省事務次官出身者が代わりばんこに就任することが暗黙の了解事項だった。そして大蔵省出身者が総裁の時は必ず日銀プロパーのキャリア組が副総裁で、日銀キャリア組が総裁になっても、2人の副総裁のうち一人は日銀キャリア組がなる。

バブル期の1984年12月から1989年12月までの期間は、大蔵省出身の澄田智が総裁で、三重野康は副総裁、窓口指導の責任者である営業局長が福井俊彦だった。

当然バブルを生み出した責任は大蔵省と、大蔵省出身の日銀総裁になるわな。すごいと思わないか、日銀キャリア組の秘密工作。当時もいまも、日銀の最高意志決定機関である「政策委員会」なんて名前だけで、何の権限も持っていない。
全てを取り仕切っているのは日銀理事会であり、その日銀理事会を牛耳っているのが、営業局長上がりのごく少数の日銀プリンスたちだった。  

信用創造の割り当てで、実質的に銀行を支配し、意図的にバブルを発生させ、そして崩壊させ、その責任を大蔵省と銀行に転嫁し、政府の経済対策を無力化させてデフレ不況を長期化させ、挙句の果てに構造改革を断行させて銀行の合併を強行し、より金融支配の強化のために日銀法の改正を実現させた「10ヵ年計画」の意味が、理解できたかな。

●紅葉
 なんとなくな。日銀がやったことと、いまアメリカのFRBがやってることが、ダブって見えるようだ。

●山猿
 まさにその通りなんだよ。国際金融権力は、1998年以降10年計画でFRBをつかって、国策金融システムを危機に陥れ自らの目的を完成させようとしているのが、今回の国際金融恐慌だと捉えることが必要なんだよ。

これで、やっと今日の国際金融恐慌の中で、日本がどう立ち向かうべきか、語るときがきた。次回にしよう。

  

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2009年03月11日

あほな会話 その2

●山猿
昨日は、銀行紙幣を持っている人がいっせいに銀行に押しかけて金と交換することを要求すると、金庫に保管してある金の何倍もの紙幣を銀行は発行していたわけだから、たちまち交換不能に陥り、その銀行は倒産に追い込まれるという話をしたな。
だから、それを防ぐために銀行同士でカルテルが生まれ、銀行同士で保管している金を貸し借りするようになってくるのは自然な流れやな。現に銀行の歴史はそうなっていった。

それじゃ、金本位制は廃止されて通貨管理制度となっている今の時代、「どうやって銀行が無からお金を作るのか?」と質問やったな。前回も触れたけれど、銀行は、顧客の預金を借り手に貸してるわけではない。顧客の「預金」を「元手」にして、その何十倍のお金を、「無」から作り出して借り手に貸し出しているわけや。

例えば、いま市民が100万円をA銀行に預けたとする。するとA銀行は「銀行法」によって、その一部を日銀に開設しているその
銀行の当座預金口座に預けなることを義務づけられている。その一部を仮に10%とすると、残り90万円を融資として貸し出しできる。

それでA銀行は、借り手の取引銀行Bの口座に90万円を送金する。ここで借り手の預金が90万円増えることになり、これは同時に借り手の取引銀行Bの預金残高が90万円増えたことにもなる。B銀行は90万円の10%にあたる9万円を日銀の当座預金口座に入れ、残りの81万円をまた別の借り手に貸し出す。

これを順々にくりかえしていくと、銀行全体として、元の100万円の預金で、900万円まで「貸し出し」できることになる。昔ならった等比数列や。この10%という数字を「預金準備率」という。その率は日本銀行が決める権限をもっている。
実際は、そんな順繰りを銀行はしない。100万円を預かったA銀行は、その預金100万円を預金準備金として日銀の当座預金口座に預け、900万円を貸し出している。

そして、その900万円の何割かは、借り手の商取引の結果、A銀行の誰かの預金口座に振り込まれる。別のB銀行が融資したお金の何割かも、A銀行の誰かの預金金口座に入ってくる。その増えた預金を預金準備金(元手)として、各銀行は新たに「融資資金」を生み出していくわけや。

●紅葉
なるほど、それが銀行が無からお金を作り出すという「からくり」か。銀行に借金するというか、銀行が融資を行うことによって、新たなお金が生み出されるということか・・・?
ということは、誰かが銀行に借金しなければ、世の中のお金は増えないということになるのかな?

●山猿
その通りや。誰かが借金しない限り、銀行が誰かに融資を行わない限り、世の中のお金の量も、銀行の預金量も増えていかない。誰かの借金は、誰かの貯蓄ということやな。

この無からお金を生み出すことを、銀行の「信用創造機能」という。この信用創造=無からお金を生み出す機能は、銀行独特の機能であって、他の金融機関、例えば損保・保険会社や証券会社にはない。中央銀行である日銀は、預金準備率を調節することによって、世の中のお金の量を緩和したり引き締めたりするわけだ。ちなみに日銀に預ける預金準備金には利子がつかない。無利子となっている。

そして、銀行相互間のお金の貸し借りは、この日銀の各銀行の口座を使って行われている。この各銀行間で行われる貸し借りの金利が、「政策金利」といわれているもので、翌日返済の短期の銀行間の貸し借り金利をゼロに日銀が誘導することを、よく報道される、「ゼロ金利」政策というわけだ。
  
ところで、事業資金を必要とする場合は、企業はその資金を、銀行からの融資で集めたり、株式や社債を発行して投資家に買ってもらって集める。融資の場合は元利を毎月返済する。社債の場合は、買ってくれた投資家に定期的に利子を払い、期限がきたら元金を返す。株式やったら、株主に配当金を払うが元金を返す必要はない。
 
企業が「お金を集める」という意味においては、証券市場での調達と銀行から借りるのとでは、それほど違いがないように見えるな。しかしや、経済全体からみると、その意味は全く違ってくる。さっき話したように、銀行からの融資は、経済全体のお金の量を増やす。だから、社会全体の取引額も増え、経済の拡大に寄与する。

一方、証券市場で資金を調達した場合は、全体のお金の量は増えない。なぜって、株式や債券を買った投資家は、買った分だけ自分のお金が減るからや。投資家の銀行口座から企業の口座へ通帳上でお金が移動するだけで、お金の量は変わらない。
お金の量が増えないとなると、経済全体での取引金額も増えない。この違いは、景気や経済成長にとって決定的な違いとなる。

バブル崩壊や金融恐慌で、銀行の新たな融資が縮小するとどうなるか、90年代のデフレ不況や今回の世界同時金融恐慌で、いま俺らは目の当たりにしている。すなわち、この信用創造=無からお金を生み出す機能は、他の金融機関、
損保・保険会社や証券会社にはない銀行独特の重要な機能であって、これをどう使うかによって、デフレにもインフレにもなり、バブルの発生もその崩壊もこの信用創造の運用しだいということになるわけや。
 
そして銀行の信用創造を支配しているのが中央銀行であり、大蔵省、そしていまの財務省にはないから、日銀は絶対的権限を持っていることになるわけや。

●紅葉
何となく、無からお金を作り出すということは分かったような気がする。まだどこか、だまされているような気もするけどな・・・。

ところで、前回の話で、君は、バブルの仕掛け人は、大蔵省じゃない。大蔵省にはバブルを生み出す力も、はじけさせる権限も備わっていなかった。仕掛け人は、中央銀行である日本銀行だ。」といっていたが、80年代末から90年代にかけて起こったバブルと、その崩壊について、山猿の考えを説明してくれ。

●山猿
 いよいよや。ここからが本番や。いままで長々と話してきたのは、これからの本番のための前提の話しやった。やっと本題に入れる。でも続きは明日にしようや。


  

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2009年03月10日

あほな会話 その1

●紅葉
飲み屋で、40代後半と50代初めの二人連れのサラリーマンが、しみじみ喋っていたよ。

「ここんとこ、どこ行ってもいい話ないな。ほんまにいやになる。取引先が週休3日になっていた。経費削減ばっかりで、たまらんよ。はっぱかけられても、売上は減るばっかりやし、どうにもならへん。・・うちの会社も優遇退職の希望を募ってほしいよ。ほんまに。冗談抜いて」
・・・・こんな状況、いつまで続くのだろう?

●山猿
わからんな・・・。90年代のバブル崩壊でも10年以上かかったんやから、このままではそれ以上かかるんやないか?

●紅葉 
そもそも、何でこんなことになってしまったんだろう。世界同時不況、金融恐慌がまだまだひどくなりそうだ。

●山猿
原因は、極めて単純だ。バブルを発生させて、バブルをはじけさせる。バブルの形態が違うだけで、本質はこれまで何度も起きた経済現象の繰り返しや。

問題は、これが人の力ではどうしようもできない経済現象なのかどうかと言うことや。避けられないものならじっと耐えて嵐の過ぎるのを待つ以外なくなる。

●紅葉
今世界各国の政府なり中央銀行、国際機関がいろいろ協議して必死に対策を打っているように見えるが、有効に対応できるのだろうか。

●山猿
いろいろ金融・財政政策を打ってるように見えるが、全て後追い、小出しの対策に終始していると思わないか?
 
どの国の政府や中央銀行、証券取り締まり機関も、おしなべてこんな事態になるまで放置していたと言うこと自体、まずおかしいと思わんとあかんやろ。

英国やスイスの金融機関は、百戦練磨の金融のプロ中のプロがそろっているんやで。

特に、発生源の米国や。内容を知ったら誰もがおかしいと思う「サブプライムローン」を大手投資会社や商業銀行の簿外子会社、政府系住宅金融機関が大量に証券化して、おまけに保険までかけて、トリプルAの格付けで世界の金融機関、投資家に売りつけたわけや。

土地や住宅の価格が下がったら、世界金融恐慌が発生することは、米国政府やFRB、証券監視機関が気がつかなかったなんてことは、まず考えられない。
 
現に各州の知事たちは、何回も規制・監視することを政府やFRBに要求していたのに無視されてきた。

堪忍袋の緒が切れたニューヨーク州知事が、昨年初頭にニューヨークタイムスに政府・FRBのサボタージュを糾弾し、規制を要求するする文を寄稿したら、たちまちFBIが、知事の女性スキャンダルを暴露し辞任に追い込んでしまった。

ゴールドマン・サックスをはじめとした大手投資会社やモルガン・チェースなどの大手銀行とブッシュ政権、グリーンスパーンFRB議長らが、グルになって今回の金融バブルを作り出し、意図的に潰して世界的金融恐慌を引き起こしたと考えるほかないやろ。

●紅葉
にわかには信じられないな。なぜ、何のために大手金融機関と政府・FRBが今回の金融危機を引き起こしたんだい?

●山猿
今回の金融危機で、金融機関も企業も軒並み数千億、数兆円の損失を出したと連日報道されていることに、まずおかしいと思わないか?金融派生商品にしろ株にしろ住宅価格にしろ、金融商品の取引では、損失と同じ額の利益をあげた者が必ずいるわけや。あたりまえや。だが、そんな話はいっこも報道されていない。いったい誰が、どの機関が膨大な損失に見合う利益をあげたのか。ここが問題や。

そんなことは、一切隠されている。全く報道されない。誰も指摘しない。損した話ばっかりが、報道されている。
誰がいったいもうけたのか。一番もうけた連中が、今回の仕掛け人とかんがえるのが、捜査の鉄則やろ。

●紅葉
君は、今回の金融危機でいったい誰が一番利益を上げたんと考えているんだい?

●山猿
そない性急にならんと、もっと事実にそいながら議論を進めようやないか。

そもそも、経済バブルがなぜ起きるんだろう? また何が原因ではじけるんだろうか?ここがきちんと理解できれば、『仕掛け人』の手がかりがつかめるはずだよ。紅葉は、日本で1980年代後半に起こった株や地価のバブルと90年初頭からの崩壊の原因は、なんだったと思う?

●紅葉
それは、1985年のプラザ会議で、国家財政と貿易収支の双子の赤字に陥っていたレーガンの米国政府が対日赤字を減らすために、日本の対米輸入と内需拡大を要求してきたので、政府・大蔵省が公定歩合を引き下げた結果でしょう。

そして機関投資家や不動産業者、民間企業に低金利融資で得た資金を土地や株への過剰投資を促がし、地価や株価が急騰していくことにつながった。また、過剰な円が日米の金利格差によって米国市場にも投入され、大企業や機関投資家が米国債や株ばかりではなく、土地やビルまで買い占めていくことにもつながったな。

地価や株、ゴルフ会員権などの急騰と資産インフレへの国民の批判にが強まるにつれて、大蔵省は土地投機への『総量規制』を行う通達を出すとともに、金利引き上げを行い土地への銀行融資を抑制・規制した。

その指導があまりにも拙速で強力だったので、各銀行はいっせいに土地投機融資を取り止め、地価も株価も急落してしまった。
その影響は甚大で、大量の不良債権が発生し、銀行はいっせいに貸し渋りを転じ、実経済を直撃しデフレ不況の十数年をたどったんだったな。

つまり、米国の圧力による大蔵省の低金利政策による過剰な土地投機、そしてあまりに急速な銀行融資を抑制したことが、バブル発生と崩壊の原因と言われている。そして大蔵省に批判が集中し、権力集中の大蔵省が解体され、金融と
財務が切り離され財務省になったと理解しているんだが・・・。

●山猿
まあ、現象だけを見れば、紅葉の言う通りやろな。すると大蔵省が仕掛け人ということになるな。マスコミも世論も大蔵省に批判を集中させた。今でも財務省への批判は根強いわけやし。ここからマスコミの官僚への度を超えた批判・非難が巻き起こった。

しかし あたかもバブルの責任が大蔵省にあると思わせて、裏でほくそえんでいる奴がいたとしたらどうする?そこを見抜くことが必要なんだよ。

●紅葉
そんなもったいぶったいい方はやめて、率直に山猿の考えを言ってみろよ。

●山猿
バブルの仕掛け人は、大蔵省じゃない。大蔵省にはバブルを生み出す力も、はじけさせる権限も持っていなかった。

仕掛け人は、中央銀行である日本銀行だ。日本銀行が、これまで日本の全ての民間銀行を支配してきたし、今も支配
している。インフレにするのも、デフレにするのも「匙加減一つ」で決めることができる絶対的な権限を日本銀行が持っていることを、おろかにも政治家も官僚も、マスコミも心底理解できていない。

これが、今日の経済状況を引き起こしている最大の原因なんだよ。マスコミは経済対策について政府や財務省や官僚を批判しても、めったに日銀を批判しないだろう。おかしいと思わないか?それでや、日銀の絶対的権限とは何かと言うことや。日銀の権限ってなにがある?

●紅葉
日銀か? まず日銀紙幣の発行でしょう。それから公定歩合〈民間銀行への融資金利〉の決定と銀行間の短期のお金の貸し借り金利の誘導、手持ち国債の売買での金融緩和や抑制策かな。

●山猿
一般的にはそんな役割りやと思われてるな。だが一番大きな決定的な権限が抜けてるよ。一番大きな権限は、無からお金を作れる権限や。これは日銀紙幣の発行権限だから、紅葉の言ってることは間違いではないんだが、その「日銀紙幣の発行権限」という深い意味を理解しているかということや。

「無からお金を作れる権限」と「日銀紙幣の発行権限」は同じように見えて、ちょっと違うわけだ。
「日銀紙幣の発行権限」は日本銀行にしかないが、 「無からお金を作れる権限」は、日本銀行と、国民からお金を預託されて成り立っている銀行両方に与えられているんだ

●紅葉
「民間商業銀行が『無からお金を作る」って、いったいどういう意味なんだよ。

●山猿
国民が銀行にお金を預金するわな。その国民の預金を銀行は、お金を借りて様々な事業や用途に活用したい借り手に利子をつけて貸し出す。銀行は、その貸出金利と預金利子の差額を利益にして成り立っていると、一般的に理解されてるがそれは違う。

もしそうなら、銀行は単なるお金の貸し借りの「仲介業者」に過ぎないことになる。いわば、街のサラ金業者を大きくしたのが銀行ということになる。しかし、銀行は、顧客の預金を借り手に貸してるわけではないんだよ。
顧客の「預金」を「元手」にして、その何十倍のお金を、「無から」作り出して、借り手に貸し出している。

この何十倍という数字を、「預金準備率」というわけだ。このことは、そもそもの銀行の成り立ちを考えるとすっきり理解できるんやけど、この一番重要なことを日銀も銀行もきちんと説明していない。銀行員でも知ってるのは、幹部のエリートだけじゃないかな。

●紅葉
なんかよく分からないな。銀行も成り立ちがわかれば、その「無からお金を作り出す」意味がわかると言うなら、その銀行の成り立ちを説明してみろよ。

●山猿
なんか、ドツボにはまり込んでいく予感がするんだが、ともかく説明するから我慢して聞いてくれ。
 
貨幣のそもそもの始まりから話すべきなんだが、そこは省いて、お金がいろんな変遷を得て「金・キン」に発展したころからはじめる。金は金そのものに価値を万人が認めたから、古今東西、普遍的な貨幣として、今風で言えばグローバルなお金として通用したことは分かるやろ。

商取引に貨幣として使われ始めた金、商売の成功でたくさんの金を稼いだ金持ちは、その金の保管場所が必要になってきたわけや。それで、どこか安全なところがないかと探していたら、その時代の金細工師の金庫が一番安全だということで、そこで預かってもらうことになる。

そのころは安全に預かってもらうために、保管料を払って預かってもらったわけだ。そして金細工師「預かり書」を手渡す。
 
金を預けた人が、商売で預けた金が必要になったときは、その預かり書を金細
工師のところに持っていって金と交換し、商売の支払いに用立てた。そうこうしているうちに、わざわざ「預かり書」を金に交換しなくても、商売人どうしで「預かり書」のやり取りで決済したほうが、安全で便利だと言うことになった。
この金細工師が発行した「預かり書」が、次第に金の代用としての『紙幣』として通用していくようになっていく。

そこで、金細工師は考えるわけだ。「預かり書」がそのまま商取引で通用していくにつれて、預かっている金を引き
出す量が次第に少なくなって、金庫に眠ったままになってる金を有効活用できないかと考えた。

そこで、その金の一部を利子をつけて貸し出すことを思いついたわけだ。そして、ますますたくさんの金が必要になり、次第に利子をつけて金を預かるようになっていった。金の保管量の増加とともに金細工師が発行する『預かり書』も増えていく。
世の中には、金と「預かり書」が「貨幣」として通用していくようになる。

どちらも同じ価値があるならば、しだいに金細工師が発行した軽くて便利な「預かり書」が紙幣として大勢を占めるようになっていき、金は金細工師の金庫に退蔵されていく。そこで、金細工師はまた思いつくわけだ。「預かり書」を発行するのではなく、
この保管している「金」を担保に、いつでも金と交換できる紙幣を発行し、金利付きで紙幣を貸し出すことを思いつく。

これが、銀行の始まりとなったというわけだ。ここから、銀行独特の妙技が生まれてくる。
金と「預かり書」の交換要求は、これまでの経験上保管金の1割程度だから、のこり9割の金は常に遊んでる事を知っている金細工師=銀行のオーナーは、その「遊んでいる金」の9割を上限として、さらに紙幣を発行しても「大丈夫やっ
ていける」と踏んで、紙幣を増やすことにした。

これが、銀行が「無からお金を作る」始まりとなった。しかし何か、経済的に異変が起きて、紙幣を持っている人がいっせいに銀行に押しかけて、紙幣を金と交換することを要求する。

銀行に保管している金の何倍もの紙幣を、その銀行は発行していたわけだから、たちまち交換不能に陥り、その銀行は倒産に追い込まれる。これが昔の金本位制下で起こる金融恐慌だ。

ちょっと長くなったが、銀行が『無からお金を作る』という、そもそもの意味はわかってくれたかな。

●紅葉
なるほどな。金本位制下における銀行の意味としては分かった。それが今の銀行ではどうなるのか、いまいち分からんな。

●山猿
今日はもう疲れた。次回説明するよ。ただ、今説明したからくり、商業銀行は、他の金融機関である証券会社やノンバンク、生命保険会社、投資会社と違う独特の機能を持っていることを理解することが、今日の金融恐慌の意味とその解決方法を認識する鍵となるので、重要なんだよ。


 
  

Posted by minoh at 23:09Comments(0)TrackBack(0)金融危機

2009年01月02日

買いかぶりか、倉田市長

2009年の始まり。箕面市は、藤沢市長から倉田市長になり、いろいろ斬新な政策を打ち
出されているようですが、その真価は、私にはまだわかりません。

先日NHKの「日曜討論」に倉田市長が出演されていました。
若手論客の特集、倉田氏はどう主張するか、期待してみていました。

期待はずれでした。
率直に言って、何も印象に残らない発言の連続でした。
彼も、やはり「優秀な官僚」どまリか。
どこからも攻撃されないことを最優先しているような主張でした。

今年は大変な年になるのは目に見えています。
昨年からの国際金融危機は、確実にこれから2,3年はわが国の
経済そして地方自治体を直撃することは確実です。
そのことへの問題意識、危機感が、あの「日曜討論」の倉田氏の
発言からは、全く感じられませんでした。

倉田氏は、今回の国際金融危機をどう認識しているのでしょうか?

今の世界金融市場の現状は、二つに分けられます。
一つは私たちの目に見える世界、つまり公開市場での自由な需要と
供給によって価格が決り、売り買いされる金融市場。
これは、おなじみの株、債券、為替市場であり、世界全体で約8000兆円。

もう一つが、私たちの目に見えない世界、すなわちデリバティブ〈金融派生商品〉
の世界です。デリバティブ取引は市場での公開取引ではなく、売リ手と買い手の
直接取引きで市場には出ない商品です。

この点が私たち素人にはなかなか理解が難しいところです。
株式デリバティブ、債券デリバティブ、商品デリバテイブ、為替デリバティブ、
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、CDO(債務担保証券)、住宅ローン損保証券
などの金融派生商品で、総額6京円。

ここまで書くだけで、頭が痛くなります。
デリバティブ商品なんて、日本の政治家や官僚、企業経営者には、さっぱり分からない
世界でしょう。

都市銀行や証券会社の金融専門家ですら、その実態を知っているものはほとんどいない
という話です。信じられませんが、これは事実らしいです。
本当だとしたら、実に恐ろしいことです。

昨年7月から問題になっているサブプライムローンの問題は、6京円のデリバティブのうち
のCDO(債務担保証券〉300兆円の問題です。
07年からのアメリカのバブル崩壊による住宅価格の下落で、サブプライムローンを返済
できない債務不履行が大量に発生し、そのことが、サブプライムローン債券を担保にして
つくりあげたCDOという商品の価格が暴落。
これが、今回の国際金融危機のきっかけです。

後は、みんなが目の当たりにしてきた今年3月の米国証券会社・ベアースターンズ、
そしてメルリ・リンチ、シティーグループを襲った金融危機、この9月には世界最大手の
保険会社AIGと投資会社のリーマン・ブラザーズが倒産の危機におちいり、米政府と
FRBは、AIGに15兆円の金融資金を投入しその場を凌ぎましたが、リーマン・ブラザーズ
は倒産しました。

この9月から、世界の株式市場は急激に暴落。08年当初の株価総額6000兆円が、
50%下落してたちまち3000兆円になってしまいました。
考えてほしい。世界のGDPが5000兆円、株式3000兆円、債券5000兆円。
これが世界の実経済です。

300兆円のサブプライムローン関連証券であるCDOに火がつき、この9月から
いよいよCDS・5400兆円に燃え移りました。

CDS=クレジット・デフォルト・スワップとは何か?
直訳すれば、「信用の崩壊を交換する」 すなわち、債務不履行や倒産のときに
備えた「保険」。

生命保険や火災保険などいざと言うときの保証のために掛け金を払る保険と
同じように、金融派生商品が暴落したときに備えて掛け金を払う保険のこと。
この保険の想定元本総額が5400兆円。

この保険の売り手、すなわち保険の引き受けてがAIGなどの保険会社と、
商業銀行からの融資や債券を発行して資金を作ったヘッジファンドと言われる
会社で、5400兆円のCDS保険の実に6割を、そのヘッジファンドが引き受け
ているとのこと。。

そのヘッジファンドの運用資産は180兆円。180兆円で5400兆円×6割、
3240兆円を保証しているらしい。

今年はこの5400兆円のCDSの崩壊が必至で、6京円のデリバテイブ市場
全体に影響してくるとのこと。

こんなことを考えると。昨年の米国政府、FRBの90兆円の金融支援法案など、
「焼け石に水」にもならない「額」です。

それぐらい5400兆円という額は大きい。
世界のGDPとほぼ同額です。だから全世界の政府、中央銀行が、自らの国の
GDPと同額の資金を支援に投入しないといけない。
アメリカなら1500兆円、日本で500兆円、といった具合に。

アメリカがこれ以上ドルを乱発したら、完全にドルは紙切れになりドル機軸の
通貨体制は崩壊します。だから米国政府、FRBは、ドルを増発したいけれども、
できない。小出しにして矛盾を先送りするので精一杯です。。
では、どこが1500兆円をかたがわりできるのでしょうか。GDP分の金を出して
その上にということです。
そんなことはどの国もできないでしょうね。
となったらどうなるのでしょうか。

必ず、この1、2年のうちに、国際金融危機が地方自治体に大打撃を与えるでしょう。
そのときの救世士になりえるか否か、私は期待している一人ですが、
その危機感が、倉田市長からは今回は感じられませんでした。

思うことを市民にズバッと語るべきです、倉田さん。
私の買いかぶりだったら、しかたがありませんが・・・。


  

Posted by minoh at 00:54Comments(0)TrackBack(0)地方自治

2008年11月03日

明治維新の闇

今回のNHKの大河ドラマ「篤姫」は、「龍馬暗殺」だった。
前回は、一挙に将軍徳川家茂、孝明天皇の逝去だった。
どう、この事件をこの大河ドラマは扱うか興味深く観ていたが、予想どうりで
「まあ、しょうがないな」と思った。

幕末、明治維新の闇は、未だに明らかにされていない。明らかにさせない「闇の権
力」がこの国に今も歴然と存在している。

なにが「闇」なのか。端的に言う。
①慶応2年(1866年)7月、大阪城で死去した14代将軍家茂は、岩倉具視、徳川慶喜に
よって毒殺された。
②同年12月、孝明天皇は、岩倉具視、長州藩・桂小五郎の指示、、薩摩藩・大久保利
通、西郷隆盛の暗黙の
了解のもとに、長州忍者諜報機関の伊藤博文らによって刺殺された。
③孝明天皇のお子、睦仁親王が慶応3年1月天皇になるが、その年の夏から秋にかけ
て、岩倉、長州藩一派によって
毒殺され、長州藩にかくまわれてきた後醍後天皇の末裔といわれてきた「大室家」の
寅之助が、睦仁親王にすり替わり、
明治天皇となった。

その中心的役割りを果たしたのが、岩倉具視と伊藤博文。それを裏から指導しあや
つったのは、上海のサッスーン財閥の日本代理人グラバーと、英国外交官のアーネスト
・サトウ、その奥の院は、西欧の金融資本を牛耳っていたロスチャイルド。
④この歴史の闇は、明治時代以降今日に至るまで、日本の近代最大のタブーとして、
決して表に出てこなかった。

今日現在も決して触れてはいけない、触れさせない政治的、学問的力が水面下で強力
に働いている。
そしてそのことをきっちり掴んでいる「国際金融権力」が、陰に陽にここぞというときに、
強力なネタにして時の日本の首相を脅迫してきた。
それは、いまも続いている。

この事実は、ここ1,2年の間に出版された
加地将一著 『あやつられた龍馬 -明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソ
ン』(祥伝社・1900円)
『幕末維新の暗号』(祥伝社・1900円)が出版され、誰もが目にできるようになった。
先の本は14版、次の本は11版と、ロングセラーとなっている。この2冊の本は、小説
のスタイルを持っているが、確かな事実の裏づけに基づく
ノンフィクション小説だ。これから日本の歴史の闇も、徐々に解明されていくだろ
う。

このバックボーンとなっているのが、『裏切られた三人の天皇 -明治維新の謎」
(鹿島 昇著 97年・新国民社・2400円)
この書物は今大型書店でも置いてない。唯一、神田の書泉グランデにおいてある
らしい。私は古本屋で取得した。
今も書店ですぐ手に入る以下の2冊をお薦めする。

『長州の天皇征伐 日本の悲劇は全てここから始まった』(大田龍著 08年・成甲書
房 1900円)
『二人で一人の明治天皇』(松重楊江著 07年・たま出版1600円)
歴史の闇は世界も日本も想像以上に底深い。


  

Posted by minoh at 21:28Comments(0)TrackBack(0)歴史